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 Crossroad 第3回 「時は金なり(Time Management)」 文/吉田 良治

  アメリカの大学スポーツ界は、はGPA(Grade Point Average)という学業評価成績2.0(目安として、100点満点中70点以上)や学期ごとの最低必要な単位を納めなければ、試合はおろか練習にも参加できないルールが、NCAA(全米大学体育協会)によって定められています。また授業にできる限り出席できるよう、年間に1つのスポーツができる期間を限定し(フットボールは8月のキャンプ〜年末年始のチャンピオンシップ期間まで)、また週単位で練習時間(ミーティングを含め週20時間以内)も制限されていますので、授業に支障が出ることはありません。ですから成績不振になるだけでなく授業に出席しなければ、それだけでスポーツ参加資格を失うこともあります。
 ワシントン大学では毎週水曜日の午前中に、アスリート専属の教務担当がコーチとミーティング、学生アスリートの授業出席状況や、学業進捗状況などの情報を受け取ります。午後にはポジションで受け持つ選手一人一人と面談を行います。ここで無断欠席などが報告されると、その日の練習は謹慎処分となり、罰則を受けることになります。3回以上続けばその週の試合は出場停止、週末の試合の後に補講が待っていました。
 フットボールに限らずアメリカはスポーツ大国で、オリンピックをはじめとした大きな国際大会で、常に上位に食い込んできます。そうした舞台で活躍しているアスリートの学歴をみると、大学出身者が多くみられます。その中にはイギリスタイムズ紙や中国上海交通大学などの大学アカデミックランキングで、ベスト200に選ばれる大学が含まれています。これらのランキングには日本では東京大学をはじめとした国公立しか200位以内に含まれず、今年のランキングでは100位以内は東京大学と京都大学しか入っていませんが、オリンピックなど国際大会や、プロスポーツで活躍するアスリートの多くは、これらのランキングで100位以内に入る大学出身者が存在します。ワシントン大学は今年のタイムズ紙のランキングは25位で、東京大学の30位よりも上位にあります。そこで文武両道を実践しないと、競技資格を得られないという、非常に高いハードルを越えて、今の地位を確立しています。また、常にアカデミックランキングベスト5にランクされるスタンフォード大学では、過去オリンピックで金メダルを含め50以上のメダルを獲得しています。日本のスポーツ推薦と違い、高い学業成績のハードルが設けられているアメリカの大学スポーツで、文武両道を実践し続けることは、並大抵の努力では成し遂げられません。
 チームや所属協会でアメリカのプロスポーツアスリートのプロフィールを見ると、一つ興味深いことがあります。学歴というものではなく、Collegeというカテゴリーがあります。つまり高卒に該当する箇所が見当たらないのです。ですから、高卒でプロになれば、チームの選手紹介では、CollegeのカテゴリーにN/Aという文字があります、つまり該当なしということになります。アメリカではプロスポーツ界においても、選手が大学に進んで文武両道を実践したことに、特別な意味で取り扱われているのだと感じます。(つづく)

吉田良治さんプロフィール
 1962年生まれ。1998年にワシントン大学へアメリカンフットボールコーチ留学。2000年リーグ制覇、2001年ローズボウルに出場し、ローズボウル制覇に貢献。国家レベルのリーダーシップ教育に貢献した、ランブライト元ワシントン大学ヘッドコーチよりリーダーシップ教育を学ぶ。
 全米の大学で人格形成プログラム普及に貢献した、ライス元ジョージア工科大学体育局長よりライフスキル教育を学ぶ。
吉田良治さんBlog http://ameblo.jp/outside-the-box/


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