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【GAKURINSHA TOPICS】教育現場の行き先 先生がいない!

 今、全国の公立小中学校では、教員不足が深刻な問題になっています。NHK の情報番組「おはよう日本」で7 月4 日、「公立小中学校の教員不足」についての特集が放送されました。NHK が行った全国67 の教育委員会を対象とした調査では、2017 年4 月の始業式時点で、およそ半数にあたる32 団体において、定数に対し少なくとも717 人もの教員が不足していることがわかりました。
 公立小中学校で教員不足に陥る経緯の一つには、病気などを理由とした教員の休職に対する措置として教育委員会へ代わりの教員を要請しても、すぐには補充されなかったという状況があります。そのような学校では、教頭などが教科の授業や学級担任を受け持つことで、影響を最小限にとどめようとしています。しかし、数か月にわたって他教科の授業に振り替えざるを得ない学校も出ています。その結果、定期テストの実施を見送るなど、学習進度に影響が出てしまい、学習指導要領に沿った義務教育の責任を果たせないという問題が起こっています。
 教員不足の要因として、NHK は「臨時採用」の教員の確保における問題を指摘しています。病気や産休などで欠員が生じた場合には、臨時採用によって補充するのが通例ですが、近年、臨時採用教員の確保は難しくなっています。その背景には、少子化を見越した教員採用の見直し、つまり、今後のさらなる少子化を考慮した教員の定数削減が進んでいることがあります。教員の定数に占める臨時採用の割合は年々増加し、正規教員の採用を抑えて臨時採用の枠が広がっています。一方で、非正規雇用である臨時採用教員のなり手は、思うように増えていないのが現状です。今後は、教員免許を持ちながら子育てなどで一旦職場を離れている、いわゆる「潜在教員」の存在も視野に入れ、そうした人たちをいかに取り込んでいけるかが、対策の
鍵になるでしょう。
 教員不足に対して、特例制度を活用して急場をしのぐ学校も出てきています。高知市立大津小学校では、欠員が出た音楽の教員の代わりが見つからず、半年後に幼稚園の教員免許を持つ女性を採用しました。本来、教員免許は、幼稚園・小学校・中学校などに分かれ、その範囲でしか教えることができません。それでも小学校の教員として採用できたのは、「助教諭免許」制度を活用したためです。助教諭免許は、前述のいずれかの免許を持っていれば、指導能力があることを条件に、3 年間に限って免許の範囲を超えて指導できる制度です。この制度に頼らざるを得ない学校は珍しくなく、2015 年に全国で発行された助教諭免許は、5,000件余りにものぼります。 また、一部の教育委員会では、一定期間臨時採用教員として勤務すれば、正規教員になるための採用試験の一部を免除するなど、臨時採用から正規採用への門戸を広げる取り組みも進められています。
 文部科学省の担当者は、教員不足の現状に対して、教員の仕事の重みややりがいがひとつの選択肢として確実に出てくるように、教員という仕事の魅力を発信して教員志望者のすそ野を広げたいとしています。一方で専門家は、教員のやりがいを訴えるだけでなく、各自治体における教員採用計画の長期的な見直しと、各自治体の裁量の範囲による格差を是正するための国の支援が必要であると指摘しています。中長期的な見直しとともに、現在の教育現場で起きている教員不足解消のためのあらゆる対策が求められています。(文/学林舎編集部)