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【GAKURINSHA TOPICS】2018年教育の行き先 スマートフォンが子どもに与える弊害と利点

 NTT ドコモは、自社が開設している特設サイト「親のための子どもスマホ“ 必修 ”講座」内で、スマートフォンを持つ 12?18 歳を対象に行ったアンケート結果を掲載しています。それによると、「スマホは勉強に有効だと思いますか?」の問いに対して、8割以上の子どもが、有効であるという回答であったといいます。本稿では、この結果を踏まえて、スマートフォンが子どもに与える弊害と利点について考えます。

■スマートフォンの普及状況
 内閣府発表の「平成 29 年度 青少年のインターネット利用環境実態調査」によると、10?17 歳の子どもにおけるスマートフォンの所有・利用状況は、年々増加していることがわかります。その傾向は、特に中高生に顕著で、中学生でスマートフォンを利用している割合は、平成 22 年度では全体の 1.3%であったのに対して、平成 29 年度では 58.1%でした。高校生にいたっては、平成 22 年度では 3.8%であったのに対して、平成 29 年度では 95.9%となっています。
■スマートフォンが子どもに与える弊害
 これほどまでに身近なものとなったスマートフォンが、子どもたちに与える弊害とはどのようなことが考えられるのでしょうか。常にスマートフォンを操作していないと落ち着かないスマートフォン依存症や、SNS にみられるいじめの構造は多方面で指摘されることが多く、広く知れ渡っている問題点と言えるでしょう。また、東北大学のプロジェクトチームが発表した、スマートフォンの使用と学力の相関についての研究成果は、世の中に大きな衝撃をもって伝えられました。東北大学の研究報告によると、スマートフォンを1日に使用する時間が長くなるにつれて、被験者(中学生)が受けた数学の試験結果も悪くなるというものでした。例えば、1日の学習時間が 30 分未満の子どもの成績を、スマートフォンの使用時間の有無によって比較してみると、スマートフォンを所有していない子どもの平均点が約 61 点であったのに対して、3時間以上使用している子どもの平均点は 50 点以下と、10 点以上の差が生じたそうです。スマートフォンの使用時間が与える学力への影響については、依然として不明点もあるそうですが、この報告の中では、スマートフォンの使用によって勉強時間や睡眠時間が少なくなったことで成績が落ちているわけではないとまとめられています。このことからも、スマートフォンとの適切な関わり方を考える必要があると言えるでしょう。学習効果があると思って、スマートフォンを使用するほど、学習効果は失われていくというのは、何とも皮肉なことだといわざるを得ません。

■スマートフォンが子どもに与える利点
 これまで述べてきた弊害の一方で、スマートフォンの使用によって手にしている利便性は、何ものにも代え難いものです。現代人は、インターネットを介した検索機能によって、知りたい情報を欲しい瞬間に手に入れられるわけですが、このことの意味をつきつめていくと、インターネットの普及によって得た特筆すべき利点に思い当たります。それは、誰にでも平等に開かれた“ 知 ”というものです。
 一昔前であれば、図書館で専門書にあたらなければわからなかったような専門性の高い内容であっても、今では、インターネットを活用することである程度のところまで知ることができるようになりました。このことは、「インターネットから手に入れられる情報との関わり方」という問題をはらんでいるものの、興味や関心をもつ限り、どのような知の分野であっても、素人でありながら必要な情報を集めることができること、ひいては、(素人では簡単には知り得ないという意味で)閉鎖的であった“ 知 ”が開放された時代であるといえるでしょう。(文/学林舎編集部)