2018.05.19

【GAKURINSHA TOPICS】
2018年学習の行き先 全国学力テストを分析 -中学校編

 2018年度の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)が、2018年4月17日に小学6年生と中学3年生を対象に全国で一斉に行われ、国立・公立・私立の小中学校合わせて2万9709校の児童・生徒、およそ213万4000人が受験しました。
 国語、算数・数学に、3年ぶりに行う理科を加えた3教科で実施されました。理科は、2012年度から3年に1度実施され、今回で3回目の実施となりました。国語と算数・数学は、おもに基礎知識を問うA問題と、応用力をみるB問題に分けて出題されますが、理科は基礎知識と応用力をみる問題をあわせた出題となります。教科ごとに、どのような傾向や単元の出題があったかを解説します。

○中学国語について
 A問題では、物語や説明文の読み取り、接続詞のはたらきや漢字の読み書き、慣用句の意味などの出題のほかに、スピーチを論理的な構成や展開に注意して聞けるかどうかをみる問題や、図書だよりについて、伝えたい事柄のまとまりや順序を理解できているかどうかをみる問題などの出題が出されました。
 B問題では、図表を用いた説明文について、文章とグラフの関係を考えながら内容を読み取ることができるかどうかをみる問題や、ロボットについての資料を作成して発表する場面に関する問題、文学的な文章について、物語のあらすじを書く問題など出されました。

○中学数学について
 A問題では、正負の数の計算や、文字式の計算とその利用、方程式、平面図形や空間図形、図形の性質と証明、関数、資料、確率などの中学2年生までに学習する単元について、過去のテストで正答率が低く、課題となっている問題から多く出されました。
 B問題では、3つの計算の順番にしたがって求めた数について考察する場面で、予想したことが成り立つかどうかを確かめたり、文字式で説明したりする力を問う問題や、四角形の対角線について、平行四辺形の証明を振り返ることで、新たな性質を見いだすことができるかどうかをみる問題などが出されました。
 また、放送委員の取り組みについて、アンケートやくじ引きの結果をもとに、昼に放送する曲の決め方を数学的に解釈したり説明したりすることができるかどうかをみる問題や、列車の写真を撮影する計画を立てる場面において、ダイヤグラムなどから必要な情報を読み取ったり、問題解決の方法を数学的に説明したりする問題、バスツアーでの旅行の料金についての問題など、日常的な場面において、数学的に解釈したり、問題解決に数学を利用したりする問題が多く出されました。

○中学理科について
 光の反射を利用する「テレプロンプター」のモデルを作る場面において、光の性質についての知識や技能を活用することができるかどうかをみる問題など、生徒が理科の問題として見慣れないテーマをもとに、理科の知識や技能を活用できるかどうかをみる問題が出題されました。
 また、アサリが出す砂の量が何に関係しているのかを、実験を通して科学的に探究する問題や、台風の進路や風向を、コンピュータを使ったシミュレーションで科学的に探究する問題、ファラデーの著書である「ロウソクの科学」を読んで書かれたレポートについての問題、刺激と反応の知識を用いて、運転中の運転士に話しかけてはいけない理由を科学的に探究する問題など、日常的な場面から、科学的な課題を設定したり、実験を計画・構想したりする問題が多く出されました。(文/学林舎編集部)