2018年子どもと大人の行き先
子どもとの距離感
子どもが自立して学習していくためには、身近な大人である親や先生との距離を保ちながら、良好なコミュニケーションをとることが大切です。今回は、学習成果につながる距離感について述べていきます。
まず、親子関係に限定せずとも、人間関係全般においてうまく信頼関係を構築できなかったり、トラブルが起こったりする場合には、「親しき仲にも礼儀有り」が実行できずに周囲に不快な思いをさせているケースも多いと考えられます。例えば、自分の勝手な判断で「この人(この子)とは信頼関係が十分できているので、少々厳しいことを言っても聞いてくれるだろう」などと思い込み、距離が近すぎて相手に不快な思いをさせてしまうケースです。
では、親子関係において、適度な距離を上手に保つポイントは何でしょうか。それは、お互いが心地よさを感じることです。この距離感は、親子や家族のように日頃から顔を合わせている近い間柄でさえ一人ひとり違うものですので、自分の感覚を基準にして考えることはできません。まず第一にお子さんが感じる心地よさを尊重してほしいと思います。成長途中の繊細な心をもっているお子さんと接するときには、日頃から様子をよく観察して、どれ位の距離を保つことがお子さんの成長にとって一番良いのかを考えることが必要です。このようにお子さんの気持ちや立場を考えて接することは、お子さんが自発的に学習したり、交友関係を広げたりできる自立した人間に成長することにつながります。
親子は最初は一体化していますが、子どもが、学習し成長し続けることによってゆっくりと時間をかけて別々の存在になっていくのです。お子さんの成長過程で、全てを知っておきたいと必死になって情報収集することはよくありません。親の管理が強すぎて、お子さんの成長を妨げることもあります。将来、お子さんが親に極度に依存することにもつながりかねません。最初は心配されることも多いかと思いますが、お子さんを信じて、徐々に適度な距離を保ってコミュニケーションをとれるように行動してほしいと思います。
次に、先生と生徒との距離感について述べていきます。学校の先生以外にも塾や習い事で、先生の指導を受けたり接したりする機会があるかと思います。指導力のある先生は、教え方などの指導スキルが高いうえに、距離を保つことが生徒の成長につながることを熟知しています。しかし、もし先生と生徒との距離が近すぎたら、生徒が先生に依存してしまうことにつながります。そして、そのような状態が継続すると、肝心の学習効果が薄れてしまいます。一方、先生と生徒との距離が遠いと、生徒の気持ちが離れてしまい、目標達成に向けてうまく導くことが困難になります。
では、先生と適度な距離を保ちながら指導を受けるために、生徒側が注意するべきことを2つ挙げたいと思います。まず1つめは、目標についてです。先生は各生徒の目標達成のために日々熱心に指導しています。その目標が先生と生徒の間で共通認識されていなかったとしたらどうでしょうか。先生が適切な指導やアドバイスができない状況に陥ってしまう可能性があります。学校や塾では定期的に面談が実施されると思います。そのときには、先生に短期・中期・長期の目標を是非素直に伝えて、お互いが共通認識をもって学習を進めていけるようにしましょう。そうすることによって学習効果は格段に上がります。2つめは、先生に対する接し方です。先ほども述べましたが、たとえ指導を受けている期間が長く、親しくしている先生であっても、常に「親しき仲にも礼儀有り」という言葉を念頭に置いて接してほしいと思います。先生は、生徒に学力をつけさせることはもちろんですが、学習をきっかけにして一人の自立した大人に成長してほしいと願いながら指導しています。その先生の思いに恥じないような言葉遣いやふるまいで接することが、生徒自身の成長にも大きく関わってきます。
今回は、親と子、先生と生徒の距離感について、述べました。今回の内容を踏まえて、適度な距離を保ち、コミュニケーションをとることによって、お子さんの自立した学習習慣や将来の目標達成につながることを願っています。(文/学林舎編集部)
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