2018.12.14

○Cross Road 第88回 平成最後の一年 文/吉田 良治

 
 平成30年もあと残りわずかとなりました。今年は今上天皇の譲位により、平成最後の年となりました。来年は4月30日に天皇譲位、翌5月1日に現皇太子が天皇へ即位され、年号も新しくなります。

 この30年間国内外で大きな変化がありました。平成元年はドイツのベルリンの壁が崩壊し、2年後ソビエト連邦も崩壊し、東西冷戦が終わりました。それに代わって湾岸戦争やアメリカ同時多発テロ、イスラム国による世界規模のテロといった、新たな形の紛争がおこりました。国内でもオウム事件は、現在世界で起こるテロのモデルとなりました。
 国内外の経済もバブル崩壊やリーマンショックにより、景気後退の要因となりました。また阪神淡路大震災や東日本大震災など、国や災害被災地の経済や社会生活に、大きなダメージを与えました。平成の時代は地球規模の温暖化も深刻化し、毎年大規模な自然災害を巻き起こしています。平成最後の“今年の漢字”に選ばれたのも“災”でしたので、ある意味平成を意味する言葉なのかもしれません。
 こう考えると平成はあまりいい出来事が起こらなかったような気がします。元々元号に“平”という文字が使われたのは、平安末期の“平治”以来でした。“平治”が混乱の時代ということもあって、“平”という文字を元号に使われない慣例だったと聞きますが、その慣例を破って平成という元号になったのですが、平成が終わろうとしている今、やはり“平”という文字が入る元号ジンクスは、当たっていたのかもしれません。
 平成30年間で社会生活は大きく変わりました。携帯電話の普及は平成という時代を象徴するものでしょう。最初は単純に通話する機能から、メッセージを送るメール機能、インターネット閲覧と、その機能が進化していきました。今や一人一台が当たり前になり、スマートフォン1台で電話やインターネットはもちろん、音楽を聴く、動画・静止画の撮影、音声録音、読書など様々な用途で使われています。そしてショッピングなどの支払いやコンサートの入場や交通機関の乗車など、これですべて済んでしまう時代になりました。
一方、コミュニケーションは直接会ってやり取りをしなくても、容易にできるようになりました。電話やメールはもちろん、スマートフォンの機能を駆使すると、SNSなど個人で簡単に発信が可能となり、既存メディアよりも早く発信ができるようになりました。SNSが先に情報伝達し、既存メディアが後追いで発信するといった、逆転現象も起こっています。また、これまでまず知ることのないような情報も、簡単に手にする機会も増えています。

 そしてAI・人工知能の時代に入り、これまで人がしていた仕事がどんどんAIに取り替わることになり、人ができる新たな仕事の創造と、それに適応することが求められます。昭和の時代SF映画で見た世界がどんどん現実になっています。
急速に進化していく新しい時代を生き抜くために、新しい時代に合ったライフスキルをどう育むのかが問われています。そこで一つカギになるのは、読書ではないかと思います。人間の最大の強みは思考力です。思考を鍛える一番の術は読書にあります。近年大学生の読書時間の減少が危惧されています。子供のころからの読書習慣を大事にすること、スマートフォンでもできることですので、若者や子供に新しい時代を生き抜くために、読書習慣を持つ機会を作ることが、大人の最大の責任と感じます。(つづく)

吉田良治さんBlog