2019.04.19

2019年教育の行き先 大学入学共通テストで何が変わる

 2020年度より、これまで行われていた大学入試センター試験に代わって、大学入学共通テストが実施されます。大学入試センター試験では、学力の3要素のうち、主に「知識・技能」が問われてきましたが、大学入学共通テストでは、「知識・技能」に加え、「思考力・判断力・表現力」が問われるようになります。そのため、出題形式や解答方式が大学入試センター試験から変更になります。
 さらに、大学入学共通テストでは、英語の問題そのものだけではなく、英語学力の評価方法についても大きく変更されます。民間で実施されている試験を活用して、英語の4技能(読む・聞く・話す・書く)が評価されます。
今回は、先行して実施されている大学入学共通テストの試行調査(プレテスト)の出題内容を踏まえ、大学入学共通テストに向けて準備するべきことについて考えていきたいと思います。
 まず、試行調査(プレテスト)では、全教科を通じて知識そのものを問う問題が大きく減り、問題文をよく読まないと解答できない問題が増えました。問題文に日常的・社会的な話題を取り入れられ、資料やデータ、会話文などがの様々な素材を速く正確に読み取る力が求められました。このような形式の問題に対応するためには、文章を読むときや書くときに必要な論理的思考力を身につけることが重要となります。これを身につけるには、はじめから難しい文章を読むのではなく、簡単なものから始めて、徐々にレベルを上げて読解・表現できるようにすることが効果的です。
出題形式に注目すると、まず、マークシート方式の問題では、選択肢の中に正解がないものや、正解が複数あるものも出題されました。次に、記述式の問題では、「理由」や「方法」を説明する問題が出されました。マークシート方式の問題は、解答形式が少し変わるだけなので、過去問を利用して対策することが可能です。記述式の問題では、「なぜそう考えられるか」「どうすれば結果が得られるか」を言葉でまとめる力が必要になります。これらは中学校や高校での定期テストなどで慣れた解答形式ですので、特別な対策をする必要はないと考えられます。まず、学校で使っている教科書や問題集に載っている問題を解けるようにすることが大切です。その上で、教科書で扱われている題材について、ここでは何が説明されているのか、そこから何がいえるのかといった問題意識をもつことが重要となります。しっかりと考える学習習慣をつけることで、大学入学共通テストに対応できる力を身につけることができるでしょう。
 また、英語については2020年度から2023年度までは民間の資格・検定試験と併行して大学入学共通テストも実施され、各大学はいずれか、または双方の試験の結果を利用することができます。試行調査(プレテスト)では、リーディングは、設問文が全て英語でかかれているうえに文章量も増えており、語法・文法の単独問題はなく、読解問題では日常的なものも含めて幅広い素材が扱われました。リスニングは、聞き取りと同時に、問題冊子から読み取らなければならない情報量が多い問題が出されました。これらの傾向から、リーディングでは、速く正確に英文を読むことが必須となります。まずは、ゆっくりでも英文を正確に読めるようにして、そこから速く読む練習を積んでいきましょう。リスニングでは、音声を頭の中の知識と結びつけ、聴いて理解できるかが問われています。単語や熟語を覚える際には、音声も一緒に覚えることが大切です。
 民間の資格・検定試験では、「話す」「書く」ことへの対策が大きな課題となります。文章を読むときに目で見て意味を理解するのではなく、声に出して読んでみる、書いてみることが効果的と考えられます。「読む」「聞く」「話す」「書く」を分けて学習するのではなく、常に関連づけて学習する意識をもつことが大切です。
 また、民間の資格・検定試験はひとつではなく、多数の種類があります。それぞれの試験は、異なる活用目的に沿って作られているため、試験の内容・レベル・形式も様々です。受験する大学によっては、で大学入学共通テストと民間の資格・検定試験のそれぞれに合わせた形で対策していくことが大切となります。(文/学林舎編集部)