2019.11.15

2019年 小学校教科書改訂―理科編

 前回は、2020年から使用される小学校の算数の教科書について紹介しました。今回は、2020年から使用される小学校の理科の教科書について、これまでの教科書との違いを、追加される内容、学年が移行する内容、中学校へ移行する内容、プログラミング教育の4つの観点について紹介します。

~追加される内容~
・音の伝わり方と大小
 「音の伝わり方と大小」が小学3年生に追加されます。ここでは、音を出したときの物の震え方に着目して、音の大きさを変えたときの現象の違いを比較しながら調べ、音の性質を学習します。この内容は、中学1年生で学習する「光と音」につながります。

・雨水の行方と地面の様子
 「雨水の行方と地面の様子」が小学4年生に追加されます。ここでは、雨水の流れ方やしみ込み方に着目して、それらと地面の傾きや土の粒の大きさとを関係付けて調べ、雨水の行方と地面の様子を学習します。この内容は、小学5年生で学習する「流れる水の働きと土地の変化」や小学6年生で学習する「土地のつくりと変化」につながります。

・人と環境
 「人と環境」が小学6年生に追加されます。ここでは、人と環境との関わりに着目して、それらを多面的に調べ、生物と環境との関わりを学習します。この内容は、中学3年生で学習する「生物と環境」につながります。

~学年が移行する内容~
・光電池の働き
 「光電池の働き」が小学4年生から小学6年生に移行します。これまでは、小学4年生の「電流の働き」の中で学習していましたが、小学6年生の「電気の利用」の中で学習するようになります。「電気の利用」は、電気の量や働きに着目して、それらを多面的に調べ、発電や蓄電、電気の変換を学習します。この中で、発電に関する道具として「光電池」を扱います。

・水中の小さな生物
 「水中の小さな生物」が小学5年生から小学6年生に移行します。これまでは、小学5年生の「動物の誕生」の中で学習していましたが、小学6年生の「生物と環境」の中で学習するようになります。「生物と環境」では、生物と水、空気及び食べ物との関わりや、人と環境との関わりに着目して、それらを多面的に調べ、生物と環境との関わりを学習します。この中で、「水中の小さな生物」を観察し、それらが魚などの食べ物になっていることを学習します。

~中学校へ移行する内容~
・電気による発熱
 「電気による発熱」は、これまでは「電気の利用」の中で学習していましたが、中学2年生に移行します。

~プログラミング教育~
 「プログラミング教育」は、算数だけでなく、理科でも必修化されます。理科では、例えば、小学6年生の「電気の利用」において、身の回りにある温度センサーなどを使って、エネルギーを効率よく利用している道具があることに気付かせます。その上で、実際に目的に合わせてセンサーを使い、モーターの動きや発光ダイオードの点灯を制御するなどといったプログラミングの仕組みを理解し、体験的に学習していきます。

 以上のような学習内容の変更だけでなく、今回の学習指導要領の改訂のポイントである「資質・能力を育成する学びの過程の改善」、「主体的・対話的で深い学びの実現」、「教材や教育環境の充実」に向けて、授業もかわっていくと考えられます。(文/学林舎編集部)