2019.11.15

2019年 教育の行き先 多様性を受け入れ、共に考え生きる

  「多様性」いろいろな様式・様相に分かれること ―『広辞苑』より
 現代の日本社会は多様性に富んでいます。さまざまな国籍、ジェンダー、年齢、信仰を持つ人びとが共に暮らしています。こうした背景には国際化やインターネットの進歩など、たくさんの要因が考えられます。ひとりひとりが暮らしやすい社会をつくるためにはどのようなことができるでしょうか。
 現代社会は情報化社会と言われ、インターネットやテレビ、新聞などの媒体を通して、だれもが簡単に情報を得ることができます。しかし、それらは100%正しいとは限りません。また、1つのものごとでも、見る角度によって見え方はちがいます。ですから、自分自身で考え、その情報がほんとうに正しいかどうかを判断し、取捨選択することが大切です。わたしたちが人と接するときにも同じことが言えるでしょう。
 わたしたちの中には、自分とはちがっている人を受け入れられずにいじめや差別をしてしまう人がいます。いじめや差別には固定観念が関係していると考えられます。自分の生まれ育った環境や経験、受けてきた教育から、相手のことをよく知らないまま、「この人は〇〇だからこういう人間にちがいない」と決めつけてしまうのです。しかし、わたしたち人間はみなちがっています。同じ人間はひとりもいません。ですから、固定観念で人をこうだと決めつけてしまうことは決して正しくありません。自分自身で見聞きすることをもとに、考え、判断する必要があります。
 また、「ちがい」=「優劣」ではありません。童謡詩人・金子みすゞさんの作品に「わたしと小鳥とすずと」という詩があります。自分と小鳥と鈴を比較して、それぞれのよいところを描いています。そして、最後に「みんなちがって、みんないい」と締めくくっています。金子みすゞさんの言うとおり、人はみなちがっていて、それぞれにちがった特徴や魅力があります。まずは自分自身を見つめなおすことからはじめましょう。自分の特徴や価値観を把握することで、他者とのちがいをよりはっきりと認識できるでしょう。そのとき、他者が自分とちがうからといって、否定してはいけません。その人のよいところを見つけ、それを認めるのです。そうすると、自分とはちがっている他者の個性も受け入れられるでしょう。このように、他者の文化や価値観を尊重することは、ひとりひとりが暮らしやすい社会につながります。
 さまざまな国籍、ジェンダー、年齢、信仰を持つ人びとが手を取り合って暮らす社会を想像するとわくわくしませんか。人はそれぞれちがった価値観や考え方、経験を持っています。そんな人びとがたくさん集まれば、「三人寄れば文殊の知恵」ということわざが表すように、よりよいアイディアが生まれ、技術や産業、社会の発展につながることでしょう。また、多種多様な知識や経験、背景を持った人たちと関わることで、自分ひとりでは経験できないことをたくさん知り、学ぶことができます。
 町に出てまわりを見渡すと、いろいろな人がいることに気づきます。自分や他者の魅力を認め、他者の価値観を尊重し、よりよい社会づくりに貢献するために一歩踏み出してみましょう。(文/学林舎編集部)