2019.12.18

教育現場を考える-アナログとデジタル

 教育現場、学習現場は今後、どのように変わっていくのでしょうか? その鍵を握るのはデジタル化をどこまですすめるかにあります。少子化が進む中で、生徒(学生)確保が急務な大学、高校、そして大手学習塾は様々なデジタル戦略をすすめています。ここで考えなければいけないのはアナログとデジタルのバランスです。私は、この問題に関して共有、50対50であると今まで考えてきましたが、具体的にどの部分をデジタルに、どの部分をアナログにするのかを仕分けする段階にきていると考えています。
 教育現場で言えば、環境と呼ばれる部分、これはデジタルにすることにより時間を短縮でき、業務などの効率を良くできると考えています。そのため、デジタルにできる部分は、デジタルにすべきだと考えています。次に学習現場においてです。現状を見るとタブレットで学習する動きが加速化しています。学習内容は現場によって違いますが、アナログで学習していたことをタブレットで学習するケースも増えてきています。タブレットによる学習は詳細なカリキュラムも含め、映像による学習、双方向によるLIVE学習もでき、様々な角度から学習効果を上げる工夫がされています。そして、子どもがわからなければボタンをタッチすれば、詳細な説明がでてきます。それでもわからなければ、映像を通して、先生が対応してくれます。アナログでやっていた指導の全てをデジタル化することができる時代なっています。
 しかし、こういった状況の中でも、自分の目で読んで、書いて、わからなければ、参考書や辞書を片手に調べて、先生を目の前にして実際に対話する。古臭い、アナログ的だと今の子どもに言われるかもしれませんが、こういった学習が自分の学びの経験を成長させ、人とのコミュニケーション力を成長させる学習方法だと私は考えています。
 デジタル学習は失敗しないように一直線に目的を達成する最短のプロセスかもしれません。ただ、それが子どもたちに本当に必要でしょうか。失敗しながら、寄り道をして、試行錯誤していくことが今の子どもたちには必要ではないでしょうか。デジタル化の波は生活において今後、加速化していくことは必然です。そういった中で、自分で考え、自分の言葉を獲得し表現するということは、受け取るだけのデジタル学習だけでは身につけることは困難です。
学習の仕方、方法に関して賛否はありますが、幼少期(3~12歳)はアナログ学習。青年期(13~19歳)はデジタル学習を中心に、アナログで学習できない学習をデジタル学習で“知”を身につけていくことが最善であると考えています。
 学習現場において“デジタル化”するということはどういうことなのかをこの機会にもう一度、考え、指導していくことが大切です。(文/学林舎 北岡 響)