2019.12.20

2019年 学習の行き先  小学校教科書改訂―国語編

 現在の日本では、グローバル化や技術革新が進み、社会構造がめまぐるしく変化しています。今の子どもたちが成人して、社会で活躍する頃には、今まで以上にグローバル化や急速な情報化などの変化が見られる時代を迎えているでしょう。そんな時代の変化に主体的に関わり、感性を豊かに働かせながら、どのような未来を創り、人生や社会をどのようによりよいものにしていくのか、子どもたちは自ら考えて行動していかなければなりません。
 未来の創り手である子どもたちの、そんな「生きる力」を、より具体化して育成するために、中央教育審議会による2年にわたる審議の末、新しい学習指導要領が提示されました。

 【「生きる力」の具体化、育成のための3つの柱】
 

①「何を知っているか、何ができるか」
 →実際の社会や生活で生きて働く「個別の知識・技  能」の習得。
 
②「知っていること・できることをどう使うか」
 →未知の状況にも対応できる「思考力、判断力、表現  力等」の育成。
 
③「どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか」
 →学びを人生や社会に生かそうとする「学びに向か  う力、人間性等」の養成。

 
 これらを、小学国語でどう実現していくのでしょうか。2020年度から使用される新しい教科書は、「国語を何のために学ぶのか」「国語を学んでどんな力が身につくのか」という教科の意義を明確化し、子どもたちがその意義を実感できるような内容となっています。従来は「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」の3領域及び「伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項」で構成されていた内容が、よりわかりやすく具体的に、以下のように構成し直されました。

国語教科書改訂

 文章を正確に理解したり、自分の思考や思いを適切に表現したりするには、「話す・聞く・書く・読む」に加え、「言葉の持つ特徴や、場面によっての使い方・使い分け」「話や文章に含まれている情報の読み取り方や扱い方」、そして根底となる「我が国の言語文化の理解」といった知識も必要です。新しい教科書は、理解したり表現したりする様々な場面の中で生きて働く、子どもたちの「個別の知識・技能」を育むことを明確に意識し、そういった「個別の知識・技能」を用いながら思考力・判断力・表現力等を養う教育をしやすいように編成されています。
 人工知能(AI)が飛躍的に進化し、人間に取って代わる時代が来ても、人間にしかない感受性と理解力、表現力を持って、目の前の困難や未知の課題にも積極的に取り組み、発信することのできる「生きる力」を持った人間の育成を目指しているのです。(文/学林舎編集部)