2020.04.17

読解、要約、表現力の必要性

読解力

 

 新学習指導要領が掲げている大きな目標は、学習の中で、子どもたちに「生きる力」、つまり学校のテストや入学試験のためだけの学力を超えた、社会や生活で役に立つ力を身につけてほしいというものです。その生きる力を育むために、今回の改訂では、例えば英語であれば「話す力」、理科であれば「データを分析する力」などがより重要視され、そういった力を育む授業を行うことが求められています。その中で、今回は、全教科において必要となる3つの力、「読解力」「要約力」「表現力」について詳しく分析、解説を行います。

 

読解力

 3つの力はそれぞれどのようなものでしょうか。「読解力」は、簡単に言うと、文章を読んで内容を正確に理解する力です。文章を正しく理解するためには、豊富な語彙力の他に、小説では比喩表現や登場人物の言動などから状況や感情を読み取る力、説明文では段落のつながりなどから筆者の主張を理解する力なども必要です。また、文章以外にも、表やグラフなどを読み取り、内容を正しく理解する力も読解力であると言えるでしょう。次に、文章などの論旨や要点を短くまとめる力が、「要約力」です。要約と聞くと、ストーリーの1から10をすべて述べる人がいますが、要約とは重要なポイントを見極め、できるだけ簡潔にまとめることです。最後に、「表現力」は、読んだ文章の内容などを自分のことばで相手に伝えたり、話し合いなどで意見を述べたりするときに必要となる力です。相手にどのように伝えたらわかりやすいかを考え、自分が持っている語彙力や表現力を駆使して伝えなければなりません。相手に反論したり、相手を説得したりするために必要な力でもあります。

 

読解力

 新学習指導要領の中で、上記で述べた読解力、要約力、表現力はなぜ重視されているのでしょうか。もちろん、どの力も社会で生きていく中で必要なものですが、特に、現代のインターネット社会においては、コミュニケーションを行うためにより重要視されるからだと思われます。
 現代では、コンピュータやインターネットが発達し、誰もがあらゆる情報を手軽に、自由に手に入れられるようになりました。スマートフォンやタブレットを持っていれば、いつでも、どこにいても情報を手に入れられる、とても便利な時代です。かつては、内容が吟味された教科書や書籍などを読み、知識を身につけることが主流でしたが、現在は調べ物はインターネットで済ませる人も多いでしょう。しかし、誰もが情報を手に入れられると同時に発信することもできます。そのため、インターネット上に存在する大量の情報の中には、真偽が不確かなものもたくさん存在します。ですから、情報を鵜呑みにするのではなく、本当に正しい情報なのか、自分に必要な情報なのかをよく吟味し、取捨選択を行う必要があります。そうして手に入れた情報を、人に伝えたり、情報について自分の意見を述べたりすることは、現代社会におけるコミュニケーションでは不可欠です。このときこそ、学校で身につけた読解力、要約力、表現力が生かされるのです。 (文/学林舎編集部)