2020.05.25

なぜ勉強するのかがわからないままの学習

自立学習 家庭学習

 子どもたちの学習意欲を喪失させる根本原因は何だとお考えになられますか。世の中、やる気開発とか、ほめる・励ますなどいろいろな方法が提示されています。指導する側も、そのどれかに関心をもたれたと思いますが、実行まで、あるいは実行されても子どもによって成果にバラツキがあったと思います。子どもの成長段階にもよりますが、小学校低学年のある子どもに聞いてみると「なぜ?学習するのか?」「なぜ?できることを何度もさせられるのか?」という疑問から「学校の宿題だからやらないといけないのはわかっているけど、やりたくないという気持ちが強く、なぜやりたくないのかがわからない」などの声をききました。

 

成長する思考力GTシリーズ

 ある一例にすぎないかもしれませんが、この子どもに関しては、学習意欲が「何」に対するものであるのかが不明あるいは曖昧であることが原因ではないかと推察します。その根幹には、「どうして算数を勉強しないといけないのか?」「どうして学校に行かなければいけないのか?」など、「どうして?」を子どもたちだけでなく、私たちも大人も考えきれなかったのだと思います。その先には「生きるということはどういうことなのか?」という根本的な課題があると私は思います。

 

要約力を身につける

 この課題に対して、私も含め社会の中核を担う30代から50代が考えきれなかったことが現代の社会状況を反映していると思います。今更と思うかもしれませんが、今だからこそこのことを考える機会をもつことは何にも増して大切ではないでしょうか。学習という観点で考えれば、学校も含め学ぶことを科目という名に分断し、その科目の範囲で学習することが現在の学習のありかたです。本来ならば、算数の中にも国語、理科、社会など様々な要素が含まれています。すべての科目には、様々な科目の要素が組み込まれているのです。

 

表現力を育てる

 こういった学習に対する考え方、哲学がないまま分断された科目学習をしているのが、現在の学習なのです。大人たちが「生きるということはどういうことなのか?」を考えなければいけないように、子どもたちは「なぜ、算数を学習するのか?」を考えなければいけないと私は思います。哲学的思考は、正直しんどい部分も多いです。しかし、そこを考えることによって、こえていかなければ、今後、様々なことがおこる世界に対応できないと思います。コロナ終息まで様々な学校行事が縮小される中、子どもたちは「なぜ、算数を学習するのか?」をテーマにレポート、大人は「生きるということはどういうことなのか?」をレポートしてみてはいかがでしょうか。(文/学林舎 北岡)