2020.05.26

価値観は変わったのか?変わらなかったのか?

問題解決力を育てる

 

 2月から5月というわずかな期間で、私たちの価値観はどのように変わったのか、それとも変わらないのか?
 教育という分野は、従来型の教育に限界を感じた期間だったと総括しています。従来型を簡単に言えば、教える側、教えられる側という教育です。オンライン授業を積極的に取り組んだ、学校、学習機関(塾、教室など)もありました。普段からオンライン学習に取り組んでいた学校、学習機関はそれほどの混乱もなく生徒に質の良い学習を提供できたと思います。しかし、今まで取り組んでこなかった学校、学習機関は大きな混乱と生徒が求める学習を提供できませんでした。
 できたこと、できなかったことを総括していくうえで、できたことは継続して質を高めることが求められます。できなかったことに関しては、できるように整えていくことが必要になります。できなかったことの現場の声を聞くと「オンライン環境が構築できなかった。」という声がほとんどです。教えられる側もスマートフォンはあるけど通信料に問題があったので、できなかったという声も多くあります。学校が再開されていく中において、現場は試行錯誤の感染予防をしながら教える側、教えられる側という教育を進めていくことになります。今までの教育の質を保てるかは、地域、学校によって格差が今まで以上にでてくることは必然です。この格差をうめるには学習塾、学習教室、家庭学習の現場に求められます。学校のように様々な制限がない学習塾、学習教室は、従来型の学校補完の学習指導ではない学習指導が求められます。すでに基礎学習、テスト、入試対策はオンライン学習に移行している学習塾も多いです。または、弊社の数学単元別小学算数ユニット(学びの大地、演習の森)のように先行学習が可能な教材を使って指導する状況も増えてきています。家庭学習においては、ベネッセや学研など大手出版社の通信教材を使って学習するケースが増えています。

 

中学英語ブロック・ステップ

 こういった状況の中で、公立小学校に通う保護者から「学校の授業の遅れに不安を感じる」という声と「学校に行かなかったことで、学校のペースに合わせず、子どもが子どもの学習ペースで取り組めたことによって、先取り学習ができた」というプラス評価の声も少なからずあります。私たち大人の多くは、学年、年齢ごとに区切られ学習を積み上げてきました。漢字でいえば、この学年はこの漢字(常用漢字)を学習する、学習しない漢字はひらがなで。算数でいえば、方程式は中学校で学習するものだから小学生では使ってはいけないなどなど。学年、年齢という枠で学校でおこなわれる学習は管理されています。

 

日本型雇用の転換期

 しかし、コロナの影響で「遅れた学習をどうするのか?」という課題に直面しています。「9月入学」「ゼロ学年」など新学期のスタートを遅らせることによって、この学習の遅れを取り戻そうという意見もでていますが、賛否両論があり、今すぐ(2020年、2021年)には難しいという状況です。義務教育の最終学年である小学校6年生、中学3年生にとっては、夏休みを縮小しても何とか遅れを取り戻したいという気持ちは大きいはずです。ただ、コロナの影響は今後どうなるかは不透明であることは事実です。あくまでも私個人の私見ですが、例えば従来の高校入試をおこなうとして試験範囲を「中学1年生から3年生の1学期範囲」として、中学生で不足した学習は春休み期間中に高校入学準備として必要な学習を高校側が提供するとすれば、子どもたちの学習負担は少なくなると思います。従来型の入試による評価をつづけるのであれば、学力格差をできるだけ少なくした評価方法が求められます。

 

問題解決力を育てる

 様々な課題がコロナの影響によって浮き彫りになったことは事実です。それ以前にセンター試験の廃止などの大学入試に関連した課題はありましたが、一律に平等に何かを提供するということは現在の日本では困難であることは事実です。国、学校、誰かに任せる、責任を負わせるという幻想から目覚め、自立した人間であるという価値観を一人一人がもたなければこれから直面する問題、課題を共に超えることができなと私は思います。教育、学習という視点に戻せば、文部科学省、学校から提供される学習は指標のひとつとして学ぶべきものであり、その時間にどっぷりつかりこむのではなく、片足ぐらいにして、できることは、どんどん先取り学習をしていけばいいと私は思います。「教えられていないから」は、厳しいようですが社会では通用しません。知らないのであれば、知る学びをしなければいけませんし、どのようにしたらできるのかを考える必要があります。今だからできることを新たな価値観に変えて、前に進むことが必要なのです。(文/学林舎 北岡)