2020.06.19

学習の行き先 受験生のみなさまへ

受験生のみなさまへ

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、3月初旬から、全国の小学校・中学校・高等学校が臨時休校になりました。当初は2019年度の春休みに入る前ごろまでとされていたこの休校措置は、結果として2020年度に入っても続くこととなりました。年度をまたぐという予想以上に長期間となったこの措置によって、来春の受験生にはどのような影響が出ると考えられるでしょうか。
 受験生自身にとっては、これから受験学年になるところで休校措置が行われたため、勉強するためのモチベーションの維持や習慣づけに苦労したことも多かったでしょう。しかし、受験のためであっても何であっても、勉強というのは自分でしなければならないものです。学校も塾も通うのが難しい状況で自立して過ごすことができたのか、もしくは、気がつくと何もできずに過ぎてしまったのか、ひとりひとり違いますが、この期間をどう過ごしたか考え、これから受験までの期間をどう過ごすのかがポイントになってきます。受験本番へ向かう前に、ほんの少しでも自分を見つめ直す良い機会になったと思われます。

 

受験生のみなさまへ

 そうはいっても、実際の受験の現場には数ヶ月に及んだ休校による影響は大きいと考えられます。それはもちろん、学校での学習が進んでいないからです。このため、文部科学省は全国の教育委員会に対して、高校入試において特定の受験生が不利にならないよう、出題範囲や内容について工夫をするように通知を出しました。この通知では、地域ごとに休校期間がちがったことから、例えば、長期休校だった地域から、短期休校だった地域を受験するのであれば、一定の配慮をすることなどを求めています。通知ではほかに、具体的に中3の学習部分からの出題は適切な範囲にすることや、問題を選択できるようにすること、内申書の出席日数などが休校により不利益にならないようにすることなど、さまざまな方法による配慮にも触れられています。
 近年、変わりゆく社会のなかで、「思考力・判断力・表現力等」が重視されており、入試ではこれらの資質が身についているかを確認するようになってきています。大学入試改革から始まったこの動きは、高校入試や中学入試にも影響を及ぼしています。知識を基本として身につけることももちろん大事ですが、今の入試制度が思考力・判断力・表現力等をはかることに重点を置いているのは、来春の受験生にとっては朗報ともいえます。他の学年の子どもたちと比べると、知識をひたすらつめこみ続けるのではなく、考えを巡らせる時間があったからです。

 

受験生のみなさまへ

 来春の大学入試は、センター試験が大学入学共通テストに変わる1年目にあたります。もともと大きく入試制度が変わる予定だったところへ、このタイミングで前例のない長期間の休校措置があったことは、来春だけでなく、今後の入試制度への影響が出てくる可能性も考えられます。入試制度が大きく変わりゆくなかで、子どもたちはさまざまな資質を身につけ、自分の力で将来を切り拓いていく力を身につける必要性が高まっています。来春の受験生はもちろん、これから受験生になる子どもたちも、コロナ禍を乗り越えて受験に挑んでいくことにより成長し、よりよき人生を手に入れてほしいと願っています。(文/学林舎編集部)