2020.06.19

教育の行き先 学校の意味を問う

 緊急事態宣言解除を受け、全国で学校が再開されました。3密(密閉、密集、密接)を避けるため、分散登校、短縮授業などを実施し、段階的に再開しました。とは言っても、完全に以前の状態に戻ったわけではなく、子どもたちは窮屈な生活を強いられています。

 

■授業
 飛沫感染を防ぐため、教員や子どもはマスクやフェイスシールドの着用が必須となり、あいさつや授業中の発言も「大きな声を出さずに」が原則となります。そのため、対面授業の醍醐味である対話を通しての授業が難しくなり、教員の「ひとり語り」になってしまうケースもあるようです。タブレット端末のチャット機能を使って、子どもとのコミュニケーションを検討している学校もあるようですが、まだまだ実施できていない学校が多いのが現状です。また、ウイルスが飛び散る恐れのある歌唱や調理実習を当分は見合わせるなど、実施できない授業も出てきています。

 

学校の意味を問う

 

■部活動や課外活動など
 部活動や課外活動にも影響が出ています。部活動では、中学3年生や高校3年生にとっての最後の大会や発表会が中止になり、引退の節目を失った生徒もいます。学校や地域ごとに引退試合・発表会の場を設けるなど、卒業を控える最終学年の生徒に寄り添った対策が検討されています。また、修学旅行や運動会など、楽しみにしていた行事がなくなり、残念に思っている子どもも少なくありません。今後遅れを取り戻すために土曜日の授業や長期休暇の縮小が実施されますが、授業の詰め込みで子どもたちが圧迫されないよう、何かしらの形で発散の場を設けることが必要でしょう。

 

学校の意味を問う

 

■3密を避ける対策による教員不足
 3密を避けるため、空き教室を利用したり、臨時のプレハブを設置したりするなど、子どもを分散して授業を行う対策がとられています。これにより浮上している問題が「教員不足」です。教室を分けて授業を行う以上、教員の数も2倍以上必要になります。非常勤講師や担任を持っていない教員を総動員して授業を実施しているようですが、不慣れな教員が授業にあたるというイレギュラーが生じてしまいます。そのことにより、授業の進行やクオリティーに差は出ないかなど不安が残ります。しかし、教員数と授業のクオリティーが確保されれば、子どもひとりひとりに教員の目が届きやすくなるため、よい環境になるとも言えます。

 

学校の意味を問う

 

■学校の意味
 学校は、子どもたちにとって自身が所属する最大のコミュニティーです。大前提として学習の場ではありますが、それと同じくらい、友だちや教員との関わり合いの場としての役割も大きいです。「休み時間に友だちとおしゃべりをする」、「授業で発言をして教員やクラスメートと一緒に授業を作り上げる」といった、これまでの「ふつう」が子どもたちの心身のバランスを保っているのではないでしょうか。学校現場では、感染症対策に取り組み、安全を守ることも大切ですが、子どもたちがコミュニケーションを失わない環境づくりをしていく必要があります。(文/学林舎編集部)