数学単元別を通してわかるとできるを実感
日本の数学者で遠山啓(1909年8月21日 – 1979年9月11日)さんという方がいました。遠山さんの言葉に「算数はがんらいいちばんやさしい教科である。なぜなら、それはごく少数の単純な原則から組み立てられているからである。その少数の原理を徹底的に理解するまで、ゆっくり時間をかけておしえればよいのである。 」例えば、分数とその計算の意味が「わかる」ということは、分数が現実世界においてどう使われるかを理解することです。遠山さんは、この意味づけをしないで、計算練習ばかりすることは「計算ができる」ということはわかっても、「わかる」ということにはつながらないと考えています。まずは、「わかる」ことを大切に考え、そのあとに「できる」ようになるのが本来の学びといえます。
遠山さんの考えを色濃く反映したのが「数学単元別」教材です。制作者である(故)北岡輝紀の書棚には遠山さんの水道方式、量の概念などにかかわる書籍が数多くあります。数学単元別が誕生したのは約40年前です。
数学単元別の特徴は子どもに「わかる」を実感させるための教材です。そのため、制作にあたっては何度も多くの子どもに数学単元別を学習してもらい、子どもから「わからない」という言葉がでないまで手直しが繰り返された教材です。私も当時、小学校6年でしたので何度も実験用の数学単元別を学習した記憶があります。そのため、先行学習で数学単元別をしていたので、中学数学の授業が良く分かったという記憶があります。コロナの影響により学習の遅れなどが心配されていますが、数学単元別を使っている学習現場では「より先行に、より復習に使える」といった声をお聞きします。数学単元別を使うことによって、受動的学習から能動的学習に学習方法に変わればと願っています。指導者が教えるまで、待つという学習方法からの脱却が求められます。(文/学林舎 北岡)
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