2020.09.18

中学教科書改訂に関して-理科編

中学教科書改訂に関して-理科編

 

 中学校では、2021年度から全面実施される新学習指導要領にあわせて、改訂された教科書が使われることになります。新学習指導要領では、主体的に学ぶ姿勢を重視しているため、改訂された教科書でも、生徒に深く考えさせたり、生徒どうしで議論させたりするように、さまざまな工夫がされています。今回は理科に特化して、新しく学習する内容や理科の改訂のポイントなどを紹介します。

 

【学習する内容の変化】
 新学習指導要領の実施にともない、履修学年や学習する内容が変わるものは、下の表のようになります。

中学教科書改訂に関して-理科編

【理科の改訂のポイント】
 新学習指導要領に基づく今回の教科書では、大きく分けて2つのポイントについて改訂が行われました。
 1つ目は、自然の事物・現象に進んで関わり、見通しをもって観察・実験を行ったうえで、結果を分析・解釈するといった探求学習の充実です。
 2つ目は、理科の有用性や理科を学ぶことの意義を実感し、日常生活や社会との関連を重視することです。
 科学的に探求するために必要な資質・能力を、3年間を通じて計画的に身につけるため、新学習指導要領では、各学年で重視する探求の過程を定めています。

 中学1年では、「自然の事物・現象に進んで関わり、その中から問題を見いだす。」とされています。例えば、光を鏡で反射させ、入射角と反射角の関係性を見いだすとともに、鏡にうつる像を光の反射と関連づけて理解させます。

中学教科書改訂に関して-理科編

 

 中学2年では、「解決する方法を立案し、その結果を分析して解釈する。」とされています。例えば、簡単な直列回路や並列回路をつくり、回路に流れる電流や、抵抗や豆電球に加わる電圧を測定することで、電流計や電圧計の操作方法を身につけます。また、豆電球に流れ込む電流と流れ出る電流の大きさの関係を予測し、それを調べる実験を計画・実行し、その結果から予測が正しかったかどうかを検証します。そして、実験を通して見いだした規則性を発表し、表現する力を養います。

 

中学教科書改訂に関して-理科編

 中学3年では、「探求の過程を振り返る。」とされています。例えば、メンデルの交配実験の結果の分析から、子や孫の形質の現れ方の規則性を見いだし、その規則性は、対になっている遺伝子が分かれて別々の生殖細胞に入ることによってもたらされるということを、コインやカードを用いた交配のモデル実験によって確認します。その際、モデル実験の試行回数と得られる結果の関係性に気づいたり、モデル実験の操作や結果が何を意味しているのか考えたりすることで、探求の過程を振り返ります。

中学教科書改訂に関して-理科編

 今回の理科の教科書の改訂によって、科学技術が日常生活や社会を豊かにしていることや、安全性の向上に役立っている事例がこれまでより多く扱われています。また、実験や観察などを通じた主体的・対話的で深い学びを実現するためや、理科の見方や考え方をはたらかせ、科学的に探求する力を育てるために、さまざまな工夫がされています。(文/学林舎編集部)