2020.09.18

出生数の減少による、教育への影響

出生数の減少による、教育への影響

〇ベビーブームから初の90万人割れ
 第二次世界大戦の終結後、日本では二度のベビーブームが訪れました。その出生数は、第一次ベビーブームでは約270万人、第二次ベビーブームでは約210万人です。
第二次ベビーブーム後は出生数が次第に減少し始め、1975年から200万人を割りこみ、2019年には約86万4,000人まで減少しました。この年、初の90万人割れという結果となりました。ここまで出生数が減少した原因はさまざまありますが、今回はこの出生数の減少による教育への影響を解説します。

 

出生数の減少による、教育への影響

〇教育への影響〔家庭の場合〕
 そもそも教育とは、人間形成のための訓練を施すことで、その訓練の場は家庭や学校など多岐に渡ります。その中でも、家庭における教育はすべての教育の出発点ともいえ、子どもたちは家族とふれあい、社会の基本的なルールを学び、ときには痛い思いをして自分の限界を知ることで、人格を形成していきます。家庭での教育は最も重要な教育の場といえるでしょう。そのような家庭での教育が、少子化によりどのような影響を受けるのでしょうか。
 最も深刻なものは、子どもに対する親の過保護・過干渉を招きやすくなることです。一人っ子の家庭が増え、その分、子どもの塾や習い事などにお金を回せるようになりました。これは良い点ともいえるでしょうが、裏を返せばお金をかけられるようになった分、幼児期から習い事を詰め込んだり、塾に通わせ受験させたりすることで、子どもの生活にゆとりを持たせない親が増える恐れがあります。
 また現在、子どものすべての行動を親が監視する、いわゆる「ヘリコプターペアレント」が社会問題となっています。これは、自分の子どもが失敗しないように、まさにヘリコプターが子どもの頭上でホバリングをしているように子どもを見守り続け、いざ子どもが困難に遭うものならばすぐさま救いの手を差し伸べるといったものです。これは一見愛情とも見て取れますが、これにより子どもは自己肯定感や自己決定力を身につける機会を失い、問題行動を起こすリスクが高まる可能性も否定できません。子どもを大切にする気持ちは親の誰しもが持っているものだと思いますが、行き過ぎると子どものためになりません。親と子であれ、その間は一定の距離を空けておくことが大切です。

 

出生数の減少による、教育への影響

〇教育への影響〔学校の場合〕
 もう1つ重要な教育の場として学校があげられます。学校に通う目的は、学力を身につけることはもちろんですが、学校という1つの社会集団に加わり、規則を守ったり周りと協力し合ったりすることで社会性を身につけることです。少子化でその集団の人数が減少することにより、お互いに切磋琢磨し合う機会や、良い意味での競争心が希薄になることが懸念されます。また、違う学年の子どもたちとの交流が減り、異年齢集団の中での友情や葛藤、忍耐などを経験する機会が失われる可能性も考えられます。
 しかし、少子化により教師1人当たりの児童・生徒数が減少したことで、1人ひとりにきめ細やかな教育を行う環境を整備しやすくなったともいえます。小学校でのプログラミングや英語教育の導入が実現できたのも、少子化がその一助となっているといえるでしょう。

 今後、出生数が劇的に回復する見込みが薄い中、私たちはこの現状と向き合い、どう教育に生かすかを考える必要があります。(文/学林舎編集部)