2020.10.02

子どもが思う未来、親が感じる現実

出生数の減少による、教育への影響

 コロナが終息しない中、多くの親は子どもの将来に対して不安を感じている。一方で、現役の高校生に話を聞くと、不安だけど前に進んでいくしかない、何とかなるという意見が少なからず多い。親と子の思いの格差は一体何なんだろうか?子どもの多くは大学・大学院への進学を考えている。一方、多くの親は教育費は負担と感じている。しかし他方では、教育費は惜しまないという親がほとんどである。子どもが感じている未来と親が感じている現実には、大きな見えない溝が存在する。数年前の話だが、ある親御さんに聞くと「子どもがどうしてもアメリカの大学に進学したいというので、早期退職をしてその退職金を半分子どものために使い、残りの半分を再就職するまでの夫婦二人の生活費にあてます。」「このことをお子さんはご存じですか?」と聞くと「子どもには言えませんので・・・。」親としてのこの行動は賛否両論あると思いますが、親心という気持ちで見ると否定はできない。

 

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 つまり、子どもは親の状況を知らないからという理由がこの溝のひとつになっているのではないだろうか。その一方で、子どもは、親が思うより自分の未来に向かって前を向いている。「本当に成し遂げたいのであれば、時間がかかったとしても自分で切り拓いていく。」こう思っている子どもも少なからず存在する。
 そして、今おきている、この温度差は子どもの将来ではなく、親自身=自分の将来に不安を感じているのも理由のひとつである。「年金はもらえるのか?」「会社はこのまま雇いつづけてくれるのだろうか?」「親の介護どうしようか?」などなど、親自身の先行きが不透明なのも、こういった状況に反映している。そのことが子どもの将来に転化しているのではないだろうか。生きることに不安なのは、全ての世代に共通していることではあるが、親世代である20~50代の大人が「生きる」ということに対して、前向きになることが今、求められているのではないだろうか。(文/学林舎 北岡)