2020.10.13

問題解決力を育てる

読解力

 ビジネスの世界では「問題解決力」という言葉はスタンダードになっていますが、教育の現場においてはまだまだスタンダードになっていません。
 大学などの高等教育機関ではこの10年「問題解決力」の育成をテーマに数多くのカリキュラムが実施されています。その代表がフィールドワークとデータによる情報分析です。例えば、子どもの通塾率をテーマにデータをあつめ、そのデータが自分の住んでいる地域の子どもたちとどれぐらいの差があるのかを調べ、分析することです。このような学習は小・中・高校の社会科で、一度は体験していると思いますが、あくまでも社会という限定された科目の中の話でした。今は、あらゆる分野で必要とされています。

 

学習方法

 しかし、フィールドワークとデータによる情報分析はあくまでも問題解決のひとつの手段でしかありません。「問題解決力」というのは、自分が直面した問題に対してどう解決していくのかを考えることができる「論理的思考力(みちすじを立てて考える力)」をもっているかどうかなのです。社会においても生活においてもこの「問題解決力」が身についているのと身についていないのでは大きな格差が生まれます。ビジネスの社会においてはこのことが顕著にあらわれます。言葉は悪いですが、ビジネスにおいて勝ち組、負け組という言葉がよく使われます。勝ち組の人間は必ずといっていいほど、この「問題解決力」に秀でています。

 

要約力を身につける

 「問題解決力」の育成は教育分野においては大きなテーマになっています。中高一貫制度の促進の背景には、この「問題解決力」を育成する課題があります。短期間で育成できないのがこの能力の特徴です。そのため6年間、小中高一貫であれば12年間という長い期間をかけて育成できると学校は考えています。そのことを裏づけるかのように中高一貫校(小中高一貫)の入試問題をみると算数・国語を中心に「問題解決力」を問う問題が随所にでています。PISA(生徒の学習到達度調査)を意識したともいえますが、PISA自体が「問題解決力」を問題のテーマとしてあつかっているため相互的に結果的につながったともいえます。

要約力を身につける

 このような状況から知識を習得する、覚えるということは、「もうしないの?」「間違っていたの?」と考えられる保護者の方もいるかもしれません。しかし、ここで認識していただきたいのは知識を習得する、覚えるということがあって、はじめて「問題解決力」につながっていくということです。ただ、従来の学習はそれだけを問うところに問題があったのです。つまり、関ヶ原の戦いが何年におこなわれたか、三角形の面積を求める公式を答えなさいなど。こういった問題にこたえるために知識を習得したり、覚えたりしたのではないのです。知識はあくまでも問題を解決していくための材料、素材なのです。知識を忘れれば、調べたらいいのです。調べることによって、知識は身についていくのです。覚えることは必要であっても覚え込む必要はないのです。
 「問題解決力」の育成については、社会にでているご両親がいちばん痛切に感じている課題ではないでしょうか。そのため、家庭学習において「問題解決力」の育成は子育ての課題として注目されています。(文/学林舎編集部)