2020.10.16

2021年の 高校入試に関して

受験生のみなさまへ

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響によって休校期間が長引き、学校が再開されたあとも、さまざまな学校行事が中止や延期を余儀なくされています。また、休校による学習の遅れを取り戻すべく、多くの自治体で夏休みが短縮されました。このような状況を受け、来春実施の高校入試について、文部科学省から各自治体へ向けて、「①スポーツ・文化関係の行事の中止などにより生徒が不利益を被ることがないように、②調査書を活用する場合、出席日数や学習評価の内容等の記載により、特定の志願者が不利益を被ることがないように、③出題範囲や内容、出題方法について適切な工夫を行う。」ことなどを記載した通知が出されています。

 

数学単元別

 この通知を受け、2021年度の高校入試について、各自治体では地域の実情を踏まえた対応策の決定がなされています。各自治体の対応は大きく2つに分けることができます。1つは、東京都や大阪府のように、通知に基づき出題範囲の縮小や出題方法の見直しを行うというもの、もう1つは、兵庫県や広島県などのように、特別な対応は行わず、例年通りの入試を実施するというものです。地域によって対応が異なりますので、受験する学校の対応を確認しておく必要があるといえます。

 

学林舎情報 2021高校入試

 3密を避けるという観点から、学校説明会やオープンスクール、学園祭などの行事が中止されたり、オンラインでの開催に変更されたりしたことで、志望校がなかなか決められないケースも考えられます。学校のホームページを見てその学校の雰囲気や、カリキュラム、進学実績など学校選びに必要な情報を確認し、オンラインでの説明会にも積極的に参加するなどして、不安や疑問などをひとつずつ解消していくことが大切です。

 2学期も中盤に差し掛かり、受験勉強も本格化してきた頃ですが、今年はコロナウイルスの影響で、例年とは異なる点も多く、受験生も受験生を支えるご家族も不安で一杯だと思います。確かに、新型コロナウイルスという未知のウイルスの前に様々な常識が改められ、これまでの当たり前が通用しない状況があります。受験においても例外ではなく、先が読めない、これまでの経験が通用しないという、わからないことに対する漠然とした不安が大きいと思います。さらに、受験日が近づくと、コロナに感染しないか、入試会場での密は大丈夫か、インフルエンザとの同時流行は大丈夫か、など健康面への不安も出てくるでしょう。

 

学林舎情報 2021高校入試

 しかし、学校での授業が遅れていることや、出題範囲が変更になることも、万全な体調で入試当日を迎えられるかという不安も、これまで経験したことがない入試であることも、すべて皆が同じ条件です。自分だけが不利だということはありません。であれば、不安だからと後ろ向きになるのではなく、志望校合格に向かって、自分が今すべきこと、今できることを精一杯実行していくことが大切だと思います。

 

学林舎情報 2021高校入試

 

 高校入試では、これまでも中1、中2の学習内容を問う問題が多く出されてきましたが、今年はその傾向がより強くなることが予想されます。今、学校で学習している3年生の内容は授業や宿題、定期テストの勉強を活用して効率的に定着をはかり、受験勉強として、中1、中2の苦手単元を克服し、その上で実際の入試問題に挑戦してみて下さい。
 また、休校期間や夏休み短縮の影響もあり、模擬試験などの受験機会も減っているとは思いますので、塾の模擬試験だけでなく、受けられるものがあれば、外部の模擬試験も積極的に活用しましょう。模擬試験では、「不特定多数の人の中で、いつもと異なる環境で試験を受けることに慣れる」、「公共交通機関を利用した移動慣れる」、「試験時間の配分に慣れる」、「受験票など持ち物の確認をする」など、試験当日の動きをシミュレーションする上で参考になることがたくさんあります。そして、結果が返ってきたら、間違えた単元を必ず復習するようにしましょう。模擬試験の結果で合否が決まるわけではありません。今できなかった問題は、入試までにできるようにすればよいのです。こつこつ、小さな努力を積み重ねた上に、志望校合格があります。

 過去問にも取り掛かる頃だと思いますが、過去問を解くときには、1教科ずつであっても、必ず時間を計り、時間配分に気をつけながら、本番と同じ順に解くようにしましょう。できれば、休日などを利用して、本番と同じ時間帯に、本番と同じ順序で、本番と同じ筆記用具や時計を使って全教科通して解いてみるとよいかと思います。案外、5教科を通して解くと、集中力が途切れて思わぬミスをしてしまうということもあります。
 これからは対応力が求められる時代です。不安に打ち勝ち、今できることを着実に実行した結果、受験生の方々に満開の桜が咲きますことを、心より願っております。 (文/学林舎編集部)