2020.11.09

コロナで加速化するオンライン教育の可能性を検証

中止になった 全国学力テストから

 コロナの影響により、オンライン教育の位置づけは加速化するとともに、意味や位置も大きく変わった。10年前は、一方的な映像配信などの通信教育がほとんどであった。しかし、ここ数年、対話が可能なオンライン教育への動きが活発化している矢先に今回のコロナにより、私立学校、大手学習塾などは、オンライン教育=オンライン指導を中心に実施し、確立しはじめている。今後、オンライン指導の流れは、通信環境、システム環境がより整備されることにより、一般化されることは必然です。

 

オンライン学習

〇オンラインの利点

  オンライン指導の利点は、場所を選ばずに先生の指導を受けられることで、そこに最大の価値がある。例えば、〇〇先生に指導を受けたいが、家から1時間以上かかる。そういった場合、オンラインシステムさえ整っていれば、家庭にいながら、先生の指導を受けることができる。もちろん、家庭でなくても、オンラインシステムが整っている場所であれば、海外であっても指導を受けることは可能である。
 教育現場にとっては、今まで限られた地域の子どもたちにしか指導できなかったことを全国、海外在住の日本人の子どもたちにも指導できる事が可能になる。すでに、オンラインによる指導が活発化している英会話などでは、英語を第二言語とするフィリピン人やタイ人の先生が、オンラインシステムを使い、日本の子どもたちに英語指導をおこなっている。オンライン指導を検証していくと、その可能性は拡大していくばかりである。
 しかし、オンライン指導にもいくつか欠点はある。

オンライン学習

〇オンラインに足りないもの

 オンライン指導にはいくつか不足しているものがある。そのひとつに、学習環境を指導者が確立できないことにある。例えば、学習姿勢や習慣がない学習者がオンライン指導を受けた場合、ついつい周りに気をとられて、集中して指導を受けることができない可能性もありえる。
 画面から先生がいくら「集中しなさい」といったところで、緊張感は現場における対面指導と比較すれば、弱いことはあきらかである。そのため、学習姿勢や習慣がついていない学習者などは、強い意志がなければ、途中で投げ出してしまう可能性もある。つまり、オンライン指導を受けるためには、いかに学習意欲を維持するかがポイントになってくる。
 また、現場における対面指導との決定的な違いは、現場だから起こりえる「学び」が存在できない。具体的にいえば、自分の隣で学習している同じ学習者の様子や先生と他の学習者が話していることを聞くことによって得る「学び」が案外、多いからである。そのことによって、気づきやひらめきといった出会いによって、学習者の学びの「知」は豊かに成長していく。
 オンライン指導のメリットとデメリットを検証・分析することにより、オンライン指導の位置づけが明確に見えてくる。オンラインはあくまでも現場指導をサポートするための指導ツールのひとつであり、オンラインだけでは学習は成立しない。この点を学習者が理解し、指導する側がオンラインの利点を明確に位置づけることによって、オンライン教育=指導は、今まで以上にその効果を発揮するのではないだろうか。(文/学林舎 北岡 響)