2020.12.11

成長する思考力GTシリーズは難しい-予定調和でない学習を目指して

成長する思考力GTシリーズを学習した後に

 成長する思考力GTシリーズは、難しいという声をよく聞きます。制作に携わった私が言うのもなんですが「難しい」です。教科書範囲の学習、反復学習を学習の主軸に置いてきた学習者にとっては、成長する思考力GTシリーズは難しいです。スポーツでいえば、ここ数年、一般化されている体幹トレーニングやメンタルトレーニングも、20年前は日本では、効果も含めて疑問視されているケースがありました。それは、今まで学習してきたトレーニング=学びではないからです。しかし、ラグビー日本代表、世界で結果を残しているプロアスリートによって、体幹トレーニング、メンタルトレーニングの必要性は実証され、一般化されました。成長する思考力GTシリーズは、まだ一般化はされていません。ただ、発行して20年以上、誰かが必要とし、誰かが成長する思考力GTシリーズを通して、何らかの効果、結果を残しているのは事実です。

 

デジタル学習とアナログ学習の融合

 ある先生が「成長する思考力GTシリーズは難しいから、使いづらいから意味がある」とおっしゃったことがありました。その理由を聞くと「ほとんどの学習教材は、子どもがつまずかないように、指導者が手をわずらわせないように作られた予定調和の教材。成長する思考力GTシリーズも予定調和の教材にしたら売れるかもしれません。ただ、効果は半減以下になると思うよ」と。これは、学林舎が学林舎であるがゆえにかかえてきた課題です。この課題に学林舎、成長する思考力GTシリーズも向き合いはしましたが、本来の制作理念から外れることは、学林舎であることをやめることだと思い、微調整をしながら前に進んでいます。

 そして何よりも、コロナによってあらためて「考える学習者を育てる」「自立した学習者を育てる」教材が必要であることを認識しました。生きていく上で、様々な問題や課題に私たちは直面します。予定調和でないことばかりです。そういった状況下において、超えていくための力とは一体何でしょうか? 問題や課題に寄り添い、考えて、表現していく力ではないでしょうか。その基盤を成長する思考力GTシリーズを通して、身につけてもらいたいと私は考えています。1日1問でも、5分でも、10分でも考える力を小学校の早い段階から学んでほしいと考えています。その積み重ねが、学習者である子どもの未来を切り拓いていくと信じています。(文/学林舎 北岡)