2020.12.18

○Cross Road 112回 今年一年を振り返る  文/吉田 良治

コロナ禍のアスリートが 抱えるリスク

 今年も残すところ半月を切りました。今年は年明けより世界的に新型コロナウイルス・新型肺炎の感染が広がり、日本では現在ウイルス感染の第三波に見舞われています。今年予定されていた東京五輪・パラリンピックも来年に延期となり、様々な分野で社会生活に制限される、所謂新しい生活様式が求められてきました。イギリスやアメリカではワクチン接種も始まりましたが、日本でワクチンが普及されるまでまだ時間がかかります。冬になり気温や湿度が下がると、ウイルス感染のリスクが高まります。春に出された国の緊急事態宣言並みに不要不急の行動制限が必要になっています。感染者の増加に伴い医療機関が困窮する状況にあり、国民一人一人が高いレベルでウイルス感染予防に取り組むことが重要です。
 教育機関は春に行った休校やオンライン授業で、生徒や学生に十分な教育が提供できていなかったということで、秋は対面授業を続けてきました。冬に入って教育機関でのクラスター感染が増えつつあり、特に教職員の感染が増えて授業を実施できない事態になるケースも増えています。生徒や学生は若く無症状か軽症で済んでいるケースが多いので軽く考えがちですが、教職員には年配者も少なくないので、教職員に感染が広がると授業の運営維持が難しくなるだけでなく、教職員の重症化にも注意が必要です。これから受験シーズンに入る中、受験を控えた受験生の不利益にならないよう、早急にオンライン授業などの対応も重要になっていきます。

アスリートの選択

 スポーツ活動でのクラスターも増加しています。競技によっては飛沫や接触の感染リスクが高く、スポーツの部活動で感染が広がり、試合の対戦相手にも感染が広がるケースが出ています。スポーツもアスリートは無症状か軽症が多いので、さほど危機感がない気がしていますが、指導者や試合の審判、そしてスポーツ活動運営管理者には年配者が少なくないので、教育機関の教職員同様、重症化になるリスクを考えると、指導者や審判、そしてスポーツ活動運営管理者の感染予防にも配慮が必要です。
 教育機関、そしてスポーツ界はクラスター感染のリスクが高いということで、医療機関に過度な負担をかけることで医療崩壊をまねかないためにも、春の緊急事態宣言並みの行動制限が必要な時期に来ています。
 今年はコロナ禍であまり良い出来事が少なかった中、最後に少し良い出来事を紹介します。2年前にタックル問題を発生させた日本大学アメリカンフットボール部が、3年ぶりに甲子園ボウルに出場しました。私は2年前のタックル問題後、チームからの要望で半年間再建プログラムを提供しました。その時プログラムの核にしたのはスポーツマンシップでした。今年の甲子園ボウルではタックル問題以来2年ぶりに関西学院大学と対戦しましたが、両チームとも反則が少なく、フェアプレーにあふれた好ゲームでした。特にフィールドに倒れた関学の選手に日大の選手が手を差し伸べ、起き上がる補助をするシーンがたくさん見られました。一昨年の12月に実施したプログラムで、スポーツマンシップを考える機会として、フィールドで発生する様々な場面で、どのような立ち振る舞いをするべきか、学生はもちろん指導者やOBも一緒になって、プログラムを通し正しいスポーツマンシップ像の認識を深めていきました。プログラムで取り組んだ一つの応えが、今回の甲子園ボウルで確認することができました。スポーツマンシップはスポーツ活動だけでなく、社会活動にも応用できます。フィールド内だけでなく、社会生活でも素晴らしい立ち振る舞いを期待します。
 今年もコラム“Cross Road”をご覧いただきありがとうございました。新型コロナウイルスとはまだしばらく付き合っていかねばなりませんが、来年は早い段階でウイルス感染が抑えられることを願っています。(つづく)

 

学生アスリート教育プログラム 紹介動画(追手門学院大学) 吉田良治さん指導

吉田良治さんBlog