2021.01.15

中学教科書改訂に関して-国語

 文部科学省が定める「学習指導要領」の改訂にともない、2020年に中学校の教科書改訂が行われ、2021年度からは中学校で新しい教科書が使用されることになりました。
 それでは、どのような変更があったのか見ていきましょう。

 

学習現場を考える

 

【国語】
 中学校では、2021年4月から、改訂された教科書が使われることになります。ここでは、国語の教科書で特徴的な改訂内容について取り上げます。
 まず、教科書の改訂について押さえておかなければならないのは、学習指導要領に合わせて改訂されるということです。学習指導要領では、「学びに向かう力、人間性など」「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力など」が3つの柱とされています。
 文部科学省が発表している、学習指導要領の「改訂のポイント」の中で国語に大きく関連している内容として、「言語能力の確実な育成」が取り上げられています。

発達の段階に応じた、語彙の確実な習得、意見と根拠、具体と抽象を押さえて考えるなど、情報を正確に理解し適切に表現する力の育成

 というのが、文部科学省が記している具体的な内容です。
 特に、はじめに「語彙の確実な習得」とあることに関連して、学習指導要領では「事象や行為、心情を表す語句」(中1)、「抽象的な概念を表す語句」(中2)、「理解したり表現したりするために必要な語句」(中3)の量を増すことが、各学年の学習内容として明記されています。これらを踏まえて、語彙力についてはどの教科書会社も今回の教科書改訂で力を入れています。

 また、「情報を正確に理解し適切に表現する力」の中でも、「話すこと・聞くこと」の内容にあたる言語活動の単元は、具体的な状況設定のもと、これまでよりも各教科書会社での扱いが大きくなっています。
これらに加えて以下の例のように、教科書会社によって、学習者の日常生活や社会制度に関連する内容を扱った単元が取り入れられていることが印象的です。

・メディアリテラシーについて述べた文章を読解する単元。
 
・実用的な文章を書く例として電子メールを取り上げて、説明・解説する単元。
 
・SNS上での対話において、コミュニケーションのトラブルが起きやすい理由を述べた文章を読解する単元。
 
・裁判員制度をモチーフに論理的な言説を学ぶ単元。

 以上に述べたように、今回の国語の中学校教科書改訂では、「語彙力」、「言語活動の充実」、そして「日常生活や社会に即したテーマ・モチーフ」が重視されているという点を押さえておくとよいでしょう。