2021.01.15

中学教科書改訂に関して-社会

 文部科学省が定める「学習指導要領」の改訂にともない、2020年に中学校の教科書改訂が行われ、2021年度からは中学校で新しい教科書が使用されることになりました。
 それでは、どのような変更があったのか見ていきましょう。

要約力を身につける

【社会】
 新しい社会科のねらいは、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱から、小学校・中学校ともに「グローバル化する国際社会に主体的に生きる平和で民主的な国家及び社会の形成者に必要な公民としての資質・能力の基礎」を育成することになっています。これを基に、中学社会の地理・歴史・公民の教科書は、大まかに次のように変わります。

☆地理
・従来の「世界の様々な地域」「日本の様々な地域」の単元の前に「世界と日本の地域構成」が置かれました。これにより、学習の最初に、世界や日本を区別することなく地理的認識をまとまった形でもつことができるようになりました。

・従来の「地域調査」の単元から「世界の様々な地域の調査」の部分をなくし、「身近な地域の調査」を「地域調査の手法」と「地域のあり方」の2つとしました。

・その他、学習上で大きな変更があったのは時差の学習についてです。時差は従来、経度15度の差があるごとに時差を1時間として計算させていましたが、どこかの都市との時差を載せた等時帯とよばれる地図を読み取って答えさせる形が学習の主体となりました。

☆歴史
・グローバル化が進む中で、日本だけでなく世界の歴史が広く扱われるようになりました。中世の元寇を日本との関係だけでなくユーラシアの変化とあわせて捉えさせたり、ムスリム商人による世界の国々の結びつきなどを気づかせたりするようになっています。

・様々な伝統や文化の特色を理解し、関心を高められる内容になりました。特に、琉球の文化やアイヌの文化について、より多くのページを使って深く解説しています。

☆公民
・著しくすすむ少子高齢化や、AIの発達による社会の構造変化など、現代の社会に見られる課題を把握したり、考察・構想したりする学習を重視するようになりました。また、身近におきる可能性が高い災害時の防災についても具体的に取り上げて考えさせるようにしています。多角的・多面的にものごとを見られるようになり、論拠を基に意見を説明するなどの言語活動に関わる学習がより重視されるようになりました。

 以上の3分野とも人に共通していることは、単なる知識の暗記ではなく、得た知識の意味や関連を考え、表現できるようになることを目標としていることです。社会科の学習を通じて、子どもたちが社会的な見方・考え方を身につけられることを願っています。