2021.02.19

共通テストから見えてくる 求められる学力

共通テストから見えてくる 求められる学力

 2021年から導入された大学入試共通テスト(以下「共通テスト」)の特徴は、“長い問題文”“大量の資料”、そして“身近な話題”の3つです。大学入試センター試験(以下「センター試験」)よりも読まなければならない文章量が、どの教科・科目でも増加しました。特に英語は、問題文すべてを読み切ることができなかった受験生も多かったようです。問題文中には資料も多く含まれており、資料から必要な情報を的確にとり出すことが求められていました。また、数学Ⅰでは100m走のピッチとストライドに関する2次関数の問題、世界史Bではコレラやペストなど過去の感染症についての問題が出題されました。地理Aでも、タピオカの原材料の産地についての問いがあるなど、身近な話題が取り上げられていました。

共通テストから見えてくる 求められる学力

 今までのセンター試験との違いが特に際立っていたのは英語です。配点は、センター試験では筆記200点・リスニング50点でしたが、共通テストではリーディング・リスニングがそれぞれ100点に変更されました。また、リーディングでは発音や語句並び替えの問題がなくなり、すべて読解問題となりました。ルームメイトとのスマートフォンでのやりとりや、ミュージシャンのファンクラブへの入会のことなど、身近なことが多く取り上げられていました。さらに、リスニングでは、これまで通り音声が2回流れた問題と、1回しか流れなかった問題がありました。
 最初に挙げた3つの特徴から見えてくる出題者側の意図は、『文章を読み、理解する力をつけましょう。資料から正確な情報をつかむ力も必要です。それに、社会の話題にも目を向けましょう。』ということだろうと思われます。これらが“求められる学力”だと言って良いでしょう。見る角度を変えると、これは、目の前で起こる事象に対して事態を正確に把握し、正しく対処できる力であるとも言えます。

共通テストから見えてくる 求められる学力

 これらの力を身につけていくためには、やはり日々の地道な学習が基本になります。その基本に、何点か付け加えるとすれば、読書・新聞購読・リスニングです。
 読書はすべての学習の基本です。共通テストの今回の問題文の長さを考えると、やはり普段から本には慣れ親しんでおきたいと考えます。また、新聞に毎日目を通すことも習慣にしておきたいものです。最近は、新聞を購読していない家庭も増えていると聞きますが、ネットニュースを上手に活用するのも良いでしょう。興味をもった記事を新聞から切り抜いてノートに貼り、感想を書くという、よく行われる方法も、文章を読み、理解する力を養うとともに、社会で話題となっていることがらを知るのにも役立ちます。新聞には、資料を含む記事も多いので、資料を見て必要な情報をとり出す練習にもなります。

共通テストから見えてくる 求められる学力

 リスニングも語学教育で従来から行われてきたことではあります。書店の本棚には、英語のCDのついた本がたくさん並んでいます。気に入ったものを選んで、今まで以上に繰り返し聞いて英語に慣れていきたいものです。
 “求められる学力”は、受動的な表現です。しかし、この学力を、子どもたちには能動的に身につけて欲しいものです。学力は自発的に楽しく取り組んでこそ真に身につきます。そのためには、アクティブラーニングなどの手法を取り入れながら、子どもたちが自発的に取り組めるようなはたらきかけが必要であると思います。(文/学林舎編集部)