2021.02.19

共通テストから見えてくる 高校入試

 

共通テストから見えてくる 高校入試

 2020年まで30年間にわたり実施されてきた「大学入試センター試験(以下「センター試験」)」に代わり、2021年から「大学入学共通テスト(以下「共通テスト」)」の実施が始まりました。共通テストでは、知識の理解を問う問題の質の向上に加え、思考力・判断力・表現力を求める問題が多く取り入れられることが謳われていました。

 

■センター試験からの変化
 共通テスト実施初年度となった今年の問題を見てみましょう。数学では、100メートル走で最もタイムがよくなるストライド(1歩当たりの距離)と1秒当たりの歩数を求める問題がイラスト付きで出題されました。国語では、評論文の内容を整理した生徒のノートを埋めさせる問題が出題されました。いずれも、センター試験にはなかった新趣向の問題です。そして、一番大きく変化したのは英語の問題でした。

 

共通テストから見えてくる 高校入試

 

■変化の大きかった英語
・配点
 センター試験では、「筆記200点・リスニング50点」でしたが、共通テストでは「リーディング100点・リスニング100点」と変化し、「聞く力」の比重が高まりました。

・問題傾向
 センター試験で出題されていた、「発音・アクセント・文法」などを単独で問う問題がなくなり、読解問題のみになりました。読解の内容は、ルームメイトの忘れ物をめぐるスマートフォンでのメッセージのやりとりや、ファンクラブの入会、ウェブの情報をもとにした旅行プランの組み立て、アイスホッケーの安全対策の記事など多岐にわたりました。傾向として、実生活の中で遭遇しうる内容のものが多く出題されたことから、単なる読解の能力ではなく、情報を処理し、運用する力が求められるようになったと言えるでしょう。

・変化した問題傾向への賛否
大きく変化した英語の共通テストに対しては賛否両論あるようです。「実生活で活きる、生きた英語に近づいた」とプラスに捉える意見がある一方、「今回のテストで求められたのは情報処理能力であり、思考力・判断 力を求める問題には遠いものであった」という声もありました。

 

共通テストから見えてくる 高校入試

■高校入試への影響
 今回変化の大きかった英語の問題傾向から読み取れることとしては、「試験で点数をとることだけを目的とした試験ではなく、実生活で役に立つ学力を身につけさせることを目的とした入試問題に変わっていくことが予想される」ということです。
 2021年は共通テスト実施の初年度ということもあり、今後変化していく可能性は大いにありますが、今年の共通テストの内容をふまえ、高校入試にも少なからず影響が表れるでしょう。各教科の知識を身につけることはもちろんですが、今後は、生活の中で流行しているトピックやツールなど、さまざまなことにアンテナを張り巡らせる意識づくりが必要になってくるかもしれません。(文/学林舎編集部)