2021.03.19

調べ学習を身につける

成長する思考力GTシリーズ国語

 最近の学校では、「調べ学習」という言葉をよく耳にします。「総合的な学習」の時間がスタートしてからは、この時間に「調べ学習」をさせよう、という試みが積極的に行われるようになりました。では「調べ学習」とはどのようなねらいをもった学習活動なのでしょうか?
 文部科学省は、学習指導要領の改訂にあたって、「学校で学んだことが、子供たちの『生きる力』となって、明日に、そしてその先の人生につながってほしい。これからの社会が、どんなに変化して予測困難な時代になっても、自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動し、それぞれに思い描く幸せを実現してほしい。」と記しています。つまり、自分で課題を見つけて、学び、考え、判断し、行動し、問題を解決する能力を培うことで『生きる力』を養ってほしいということです。そして、まさにこの『生きる力』を鍛錬する方法の一つが「調べ学習」なのです。「調べ学習」は、自分が何を知りたいのか、日々の中で、「なぜ?」「どうしたらよいのか?」という課題を見つけ、自分で調べ、自分で考え、自分で判断してまとめるという一連の流れです。つまり「調べ学習」とは『生きる力』を育もうというねらいをもった学習活動なのです。
それでは、具体的な「調べ学習」の進め方をみていきましょう。

 

デジタル学習とアナログ学習の融合

 

1 テーマを決める(→「探究する力」の鍛錬)

 自分の生活の中で疑問をもったり、興味がわいたりしたことをテーマに取り上げます。そのためには、常に自分のまわりのことがらに疑問や好奇心のアンテナを張り巡らせることが必要になります。これは物事を観察する力、探究する力を養うことにつながります。

 

2 調べる(→「調べる力」の鍛錬)

 調べる方法には、以下のようにさまざま情報源があります。
・百科事典・辞書、図鑑などの本
・統計資料集や白書などのデータ集
・新聞や雑誌など
・インターネット
 調べる内容によって、どのような方法を用いればよいのか、どのような媒体をさがせば答えに近づけるのか、問題の解決方法を探索する力を養います。

 

3 考える(→「思考する力」「知識を活用する力」の鍛錬)

 本や新聞を調べ、情報を集めて丸写ししただけでは「学習」にはなりません。情報を集めるという作業をしただけです。複数の情報から、自分に必要な情報を選択し、得られた情報をよく読みこんで、自分の知識と照らし合わせ、自分の頭で考え、自分で解答を構築していくことが大切です。これが「思考する力」です。インターネットで検索をした場合も同様です。インターネット上の情報を鵜呑みにせず、その情報はだれが発信したものかを調べ、信用できる発信者の情報か考える必要があります。YouTubeでの配信も同様です。何が正しくて、何が間違った情報なのかを吟味する情報リテラシーの育成にもつながっていきます。

 

4 発表をする(→「伝える力」「表現力」の鍛錬)

 得られた情報を整理し、人に伝わるように工夫してまとめます。どのような順番で、どのような資料を示し、どのように発表すればよりよく伝わるのか、人に「伝える力」の鍛錬になります。
 このように、「調べ学習」には「探究する力」「調べる力」「思考する力」「人に伝える力」などを養う要素が含まれています。どれも『生きる力』に直結しています。文部科学省が記したように、これからの社会は予測困難な時代に突入することでしょう。そのときに、子どもたちがよりよく生きていけるように、「調べ学習」によって『生きる力』を育んでいくことが期待されます。 (文/学林舎編集部)