2022.10.07

つながっていく共育を目指して

数学単元別 正負の数

 

 今から、35年前に制作された中学数学単元別は、当時、様々な反響があったことを制作者である父(故北岡輝紀)からよく聞きました。問題の次ページに解答がある中学数学単元別は「子どもが解答をマル写しする」「この教材を子どもに渡したら先生は何をするの?」などの様々な意見を受けました。それに対して、父は「マル写ししてもいい。マル写しをして、後で困るのは子ども自身だから」「先生は、子どもが学習するのを本を読みながら見守っていたらいい」。当時の“教えるというスタンス”から考えると信じられない返答だったかもしれません。

 

 

数学単元別 正負の数

数学単元別 正負の数

 

 父の教材に対する想いは「教えられていては、学習者自身は成長しない」「自立した学習者は生まれない」「そのためには、教えるための教材ではなく、学習者自身が自ら学ぶ教材でないといけない」。父のこうした考えは、現在の社会を見透かしていたのかもしれません。
 父の想いをどう“つないでいく”かが私自身にとっては大きな課題です。私は父のような教材をつくることはできません。しかし、“成長する思考力GTシリーズ”などの父とはちがった視点の教材を提案し、つくることはできます。もし、自分でつくることができないのであれば、世界中走り回って見つけだし、届けます。父の想いがつまった教材を継承していくことはもちろんのこと、進化させていくことが私の使命です。そして、父の教材理念・思想とも言うべき“自立学習”に対する想いは、様々な私塾の先生方によってすでに体現され、次世代へ継承されています。(文/北岡 響)