2023.07.27

成長する思考力GT国語を学習した後に、課題作文に挑戦してみよう

考える力-成長する思考力GTシリーズ

 

作文力は表現力の一つです。中学入試~大学入試まで様々な場面でその力を必要とされています。なぜなら、その人の書いた文章を見ることによって、その人のものの考え方や見方、性格、人となりが何よりもよくわかるからです。作文力とは、一つのテーマをいかに自分に引き寄せて、読み手にわかるように展開することができるかということでもあります。そのためには、基本的な文章を書く力が必要ですが、独りよがりの自己主張文ではだれも評価しません。テーマに沿った様々な情報を読み取り、自分の経験と重ね合わせて、自分の世界をより豊かにしていくものとして、表現されなければならないのです。
成長する思考力GT国語はそんな表現力の基礎を培うトレーニング教材として開発されました。
成長する思考力GT国語を学習した後に、課題作文に挑戦してみましょう。

☆課題作文の書き方
課題作文には、必ず出題者の意図がある。出題者がどんな意図でその課題を出しているかを考え、その題意をとらえることが評価につながる。
文章から出題者は何を読み取るのか。

① 書き手のものの考え方、見方
② 書き手の気持ち
③ 書き手の性格や人間性
④ 文の成り立ち
⑤ 原稿用紙の使い方

<原稿用紙の書き方の一例>
①題字は、一行目で上から3~4マス目から書く。
②名前は、二行目で下1マスが空くぐらいに書く。
③文章の書きだしや段落の最初は、一マス空けて書く。
④文字は一字ずつ、マス目の中に書く。
⑤。、「」『』()などの句読点や符号はそれぞれ一字と考える。
⑥会話文は、「」をして改行する。
以上のことに注意しよう。

 

教育と学習のちがい

 

☆課題作文を書くための考える順序
① 与えられた課題にふさわしいテーマを1つ決める。
② 文字数を考えて、全体の構成を、テーマを中心に大きく三つほどに分けて考える。
テーマを述べる・テーマの展開・締めくくり
③ 構成にそって書く。(できるだけ漢字を使う。)
④ 推敲する。

☆文章の書き方
① 描写的に書く。
・「できごと」「風景」「自分の体験」などを具体的に書くときに用いる。
・読み手が想像できるように生き生きと書く。
②説明的に書く。
・「私の家族」「私の尊敬する人」など物事や人物などを紹介したりするときに用いる。
・読み手に理解できるように説明する。
1つの作文の中で、①、②の書き方を使い分けて書くことが多い。

☆論説文的に書く
・グラフや資料などを見て、書き手の意見や感想を求められている場合に用いる。

☆文体を考える
① 文末表現を統一する。
・「です」「ます」の敬体にするか、「である」「だ」の常体にするかいずれかで統一する。
② 文の長さや言葉で、文章に特色を与える。
・印象に残る一文をできるだけ入れる。他の人が書かないと思われるような文や言葉。
・リズム感のある文章にする。
・長々とした文はできるだけ2文、3文に分けて書く。

 

学習現場を考える

 

<例1> 課題 「私の将来の夢」について      400字詰め原稿用紙2枚程度
(描写的な文と説明的な文を使い分けて書く。)
・ 自分が大人になったら、どんなことをしたいのかを明確に書く。
・なぜ、そのように考えることになったのか、そのきっかけをとりあげて、そのときの自分の気持ちを描写的な文で書く。
・それをするために今から自分はどんなことをしていこうとしているのかを説明的に書く。

<解答例>

私の将来の夢 学林舎 花子

私は大人になったら、看護師になって病気の人の世話をしたいと思っています。
私が看護師になりたいと考えるようになったのは、小学3年生のときでした。私は交通事故で、足の骨を折って1ヶ月ほど入院したことが、そのきっかけになりました。
夜には母も帰り、消灯時間になると病室も薄暗くなります。それでも10時ごろまでは、となりのベットや向かいのベットから寝返りをうつ音がかすかに聞こえてきたり、ひとりごとが聞こえてきたりするので、みんな一人なんだという気持ちで自分をなぐさめることができました。しかし、10時を過ぎたころ、一瞬、時間が止まったような静けさがおそってきます。突然なみだがこぼれ、私は不安とさびしさでたまらなくなるのです。そんなとき、看護師さんは、私の気持ちがわかるかのようにベットにやってきて、頭をなでながら、眠るまでそばについてくれたのです。また、リハビリが始まるといやがる私を勇気づけ、いっしょになってリハビリにとりくんでくれました。その看護師さんの声とやさしい笑顔を今も忘れることができません。その病院には、私と同じようなたくさんの子どもたちが入院していましたが、みんな退院するときには、お医者さんより看護師さんたちと別れるのになみだをこぼしていました。この時以来、私は病気の子どもたちの心を理解し、いっしょになって病気とたたかってくれる看護師という職業のすばらしさにあこがれてきました。
私は、看護師になるためにはまず、人の気持ちを理解できる心の豊かな人になることだと思います。それがあってはじめて看護師になるための専門的な勉強が必要だと思っています。だから、私は今、たくさんの本を読んで、その中でいろいろな人たちと出会うことによって、私自身の心の勉強をしています。

<例2> 課題 未来社会のために     400字詰め原稿用紙3~4枚程度
・現在の社会はどんな社会なのかを、自然環境、社会環境、人間関係、文化環境などいずれか一点に絞って描く。それによって未来の社会はどのようになるのかを仮説する。(序論)
・先に書いた現在の社会の問題の原因を説明し、仮説の根拠を書く。(本論)
・仮説に対して自分はどんな社会を願うのか、また問題解決のためにはどうすればよいのか、そのために自分は何をすればよいのかを書く。(結論)

<解答例>

未来社会のために 学林舎 太郎

最近テレビや新聞で、地球温暖化のために熊が冬眠できなくなっているのではないかとか、地球上の各地で、異常気象が起こっていることがひんぱんに報道されている。このままでは、数十年後には北極の水がとけはじめて、海面が上昇し沈んでしまう島さえあるという。もし、北極や南極の氷がとけてしまったら、地球上の陸はヒマラヤのような山地だけになってしまうにちがいない。それでは、現在地球上で暮らしている人間のほとんどが住む場所がなくなってしまうのではないだろうか。もちろん、人間は賢いから、海上や空中で生活できる環境をつくるに違いない。しかし、地球上の人間以外の陸上に住んでいる生物はほとんど死滅することにる。地球上の生物の生態系が壊れ、人間そのものも、地球の生態系に依存しないまったく異なった宇宙人のようになってしまうのではないだろうか。(序論)
地球の温暖化の主要な原因は、温室効果ガスが増加することによって起こる現象であると聞く。この温室効果ガスというのは、地球の大気圏で、地表から放射された赤外線を一部吸収することによって、空気を温める気体だそうだ。これには水蒸気や対流圏オゾン、二酸化炭素、メタン、フロン類などがあるが、今地球で最も問題になっているのは、二酸化炭素の増加だ。この要因には2つある。1つは樹木の伐採である。日本においても宅地造成で山の木々がどんどん少なくなっている。熱帯地方のジャングルも毎年少なくなっているそうだ。これによって、植物の光合成によってバランスがとれていた大気の酸素や二酸化炭素の量のバランスが大きく崩れはじめているというのだ。もう一つは石油や石炭を使うことによって排出される二酸化炭素の量が多すぎることにある。私たちの身のまわりは、石油をもとにした製品やエネルギー源で満たされている。街は自動車の排気ガスで満たされ、人間が出すごみは、ポリエチレンやナイロン製品で山積みされている。
人間が豊かに暮らしていくためにはしかたがないという人たちもいるが、このような状態がほんとうに豊かなのかという疑問を持たざるをえない。贅沢な食べ物でぶくぶく太った体、冷暖房の中にいなかったら何もできない体。どこに行くのも自動車で移動し、歩くことのない生活。密室で酸素マスクをあてながら心のやすらぎを求めている姿。これでは豊かな生活ではなく、動物園のおりの中の動物以上にひどい生活ではないだろうか。このままだとほんとうに人間は私たちが日頃想像しているタコのような宇宙人になってしまうにちがいない。(本論)
そうならないためにも、私たちは地球の自然とともに生きる生活をとりもどさなければならない。今すぐ全世界の人々が一丸となって協力しあうことが必要だ。地球温暖化を防ぐためには、山に植林して樹木を増やし、今すぐ熱帯樹林の伐採を直ちに中止すれば、何十年後にはもとにもどる。また、太陽電池で動く電気自動車が開発されれば、今のような排気ガスもなくなる。政治をする人も、企業を動かしている人も地球環境を考えて活動する必要がある。そして、買い物には買い物袋を持参し、ビニール袋を使わないようにすることやできるだけ公共の交通機関を利用して自家用車に乗らないこと、電気を節約することなどは、私たちがすぐにもできることではないだろう。