2018.06.16

【GAKURINSHA TOPICS】
学習指導要領改訂によって教科書どう変わる? -理科編

 新学習指導要領では、「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱の目標が掲げられています。これらの目標のもとに改訂された、理科の新しい指導要領について、具体的な内容を整理します。

【理科】

(1)小学校理科
1.目標
 新学習指導要領では、小学校理科における「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」を次のように示しています。「知識及び技能」とは、「自然の事物・現象についての理解を図り、観察・実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする」こと、「思考力、判断力、表現力等」とは、「観察、実験などを行い、問題解決の力を養う」こと、「学びに向かう力、人間性等」とは、「自然を愛する心情や主体的に問題解決しようとする態度を養う」こととしています。
これらの目標を実現するために、今回の改訂で追加、移行された主な内容を説明していきます。

2.内容
①小学3年生
 「音の伝わり方と大小」が追加されます。ここでは、音を出したときの震え方に着目して、音の大きさを変えたときの震え方の違いを比較して調べる活動を行います。この内容を追加することで、中学1年生の「光と音」の学習につなげることができます。

②小学4年生
 「雨水の行方と地面の様子」が追加され、「光電池の働き」が小学6年生に移行します。「雨水の行方と地面の様子」では、雨水の流れ方やしみこみ方に着目して、それらと地面の傾きや土の粒の大きさとを関連付けて調べる活動を行います。この内容を追加することで、小学5年生の「流れる水の働きと土地の変化」や小学6年生の「土地のつくりと変化」の学習につなげることができます。

③小学5年生
 「水中の小さな生物」が小学6年生に移行します。

④小学6年生
 「人と環境」が追加され、「光電池の働き」が小学4年生より、「水中の小さな生物」が小学5年生より移行し、「電熱線の発熱」が中学2年生に移行します。「人と環境」では、人と環境との関わり方の工夫に着目して、持続可能な環境との関わり方を多面的に調べる活動を行います。この内容を追加することで、小学4年生の「季節と生物」の学習を踏まえて「生物と環境」について学習することができます。そして、中学3年生の「生物と環境」の学習につなげることができます。また、「水中の小さな生物」は、小学6年生に移行することで、生物には食う食われるの関係があることを学ぶ際に、魚と水中の小さな生物の関係も捉えることができるようになります。「光電池の働き」は、小学6年生に移行することで、光電池を使って自分で電気をつくり出し、その電気を蓄えたり変換したりして、エネルギーが蓄えられたり変換されたりする現象を体験的に捉えることができるようになります。

(2)中学校理科
1.目標
 新学習指導要領では、中学校理科における「知識及び技能」、「思考力、判断力、表現力等」、「学びに向かう力、人間性等」を次のように示しています。「知識及び技能」とは、「自然の事物・現象についての理解を深め、科学的に探究するために必要な観察、実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする」こと、「思考力、判断力、表現力等」とは、「観察、実験などを行い、科学的に探究する力を養う」こと、「学びに向かう力、人間性等」とは、「自然の事物・現象に進んで関わり、科学的に探究しようとする態度を養う」こととしています。
 これらの目標を実現するために、今回の改訂で改善された内容や、移行された内容の主なものを説明していきます。

2.内容
①中学1年生
 「生物の分類の仕方」に関する内容が扱われるようになり、「動物の体の共通点と働き」が中学2年生より、「2力のつり合い」、「自然の恵みと火山災害・地震災害」が中学3年生より移行します。中学1年生から他学年へ移行する内容もあります。「圧力」、「葉・茎・根のつくりと働き」は中学2年生へ、「水圧・浮力」は中学3年生へ移行します。
これまでは、植物を分類するときに外部形態と内部形態を観察して分類していましたが、改訂により外部形態の観察から共通点や相違点を見つけて分類するようになります。

②中学2年生
 「放射線」に関する内容が扱われるようになり、「電熱線の発熱」が小学6年生より、「圧力」、「葉・茎・根のつくりと働き」が中学1年生より、「自然の恵みと気象災害」が中学3年生より移行します。中学2年生から他学年へ移行する内容もあります。「動物の体の共通点と働き」は中学1年生へ、「生物の種類の多様性と進化」は中学3年生へ移行します。理科は「エネルギー」、「粒子」、「生命」、「地球」の4つの柱で構成されていますが、改訂により「圧力」は、「エネルギー」から「地球」へ移動します。これは、「気圧」と「圧力」を関連付けて理解させるねらいがあります。

③中学3年生
 「水圧・浮力」が中学1年生より、「生物の種類の多様性と進化」が中学2年生より移行します。中学3年生から他学年へ移行する内容もあります。「自然の恵みと火山災害・地震災害」は中学1年生へ、「自然災害の恵みと気象災害」は中学2年生へ移行します。

 このように、小学校理科、中学校理科では、学習内容の追加や学年間移動にともなって教科書の内容が変わります。また、平成30 年度からは移行措置が始まるので、その補助教材に注目する必要があります。(文/学林舎編集部)